住友ゴム工業の決算会見の様子《写真提供 住友ゴム工業》

住友ゴム工業は8月8日、2022年12月期の事業利益、営業利益、純利益がそれぞれ前期比40.4%減の310億円、43.1%減の280億円、16.9%減の245億円と大幅な減益になる見通しだと発表した。

売上収益は円安や値上げなどによる増収で前期比22.3%増の1兆1450億円と初の1兆円超え予想するが、原材料価格や海上運賃の高騰が響いて大幅な減益見通しで、5月の公表値を事業利益で110億円、営業利益で115億円、当期利益で45億円それぞれ下方修正した。

「コロナ禍からの緩やかな経済活動の回復を期待したが、足元のコロナ感染再拡大や原材料価格、海上運賃の高騰、先行き不透明なウクライナ情勢など引き続き予断を許さない状況になっている」と木滑和生副社長は話す。

特に厳しいのが本業のタイヤ事業で、売上高が前期比24%増の9870億円と大幅な増収を予想するが、事業利益は47%減の220億円と大幅な減益見通しだ。製品への価格転嫁で725億円の増益要因となるものの、タイヤ素材の天然ゴムなど原材料価格で691億円、海上運賃の上昇で254億円の減益要因となり、価格転嫁では追いつかない状況となっている。

木滑副社長によると、足元のネガティブ要因への対策として、次のことを行っていくそうだ。まず海上運賃高騰に対しては、影響の大きい北米・欧州向け出荷と現地在庫を考慮しながらきめ細かな対応をして運賃をできるだけ抑制する。原材料価格の高騰に対しては、各地域状況に応じた価格見直しをさらに進めていくとともに、生産・技術・購買・販売までが連携して原材料費削減に取り組む。

そして、地産地消比率向上のために米国、ブラジル、南アフリカ工場で増産し、トルコ、中国、タイ、宮崎工場では高機能タイヤの生産能力を拡大し、需要や為替などの環境変化に応じた柔軟な生産配置を進めていく。そのほか、利益基盤の再構築として、タイヤSKU最適化、高機能商品拡販、DXを推進していく。

「下期については、為替も含めて保守的に見ている。こうした取り組みによって、少しでもアップサイドに持って行きたい」と木滑副社長。

なお、22年度上期(1〜6月期)の連結決算は売上高が前年同期比16.4%増の5121億円、事業利益が同52.9%減141億円、営業利益が同56.0%減の125億円、純利益が16.2%減の171億円だった。

住友ゴム工業の木滑和生副社長《写真撮影 山田清志》 ダンロップを履くトヨタ・クラウン新型《写真撮影 平原克彦》 ダンロップを履くホンダ・ヴェゼル新型《写真撮影 中野英幸》