現アルピーヌのフェルナンド・アロンソは来季2023年、アストンマーティンに移籍する(写真は2021年F1カタールGP)。《Photo by Pirelli》

8月1日、F1参戦チームのアストンマーティンは、先月28日に今季限りでのF1引退を発表したセバスチャン・ベッテルの後任として、来季2023年は大ベテランの41歳フェルナンド・アロンソ(現アルピーヌ)が移籍加入すると発表した。

現在のアストンマーティンはセバスチャン・ベッテルとランス・ストロールのコンビで戦っているが、電撃的なベッテルのF1引退発表により、来季2023年のストロールのパートナーは誰が務めるのか、これが新たな話題になる…と思われたところで、あっさりと決着がついた(なお、ストロールは父が陣営の重鎮であり、よほどのことがない限りアストンマーティンに留まり続けることが確定的な存在)。

チャンピオンの後任はチャンピオン、ベテランが抜けてできる穴を埋めるのは大ベテラン。ベッテルの後任として来季アストンマーティンで走るドライバーはフェルナンド・アロンソ(スペイン)と発表された(複数年契約とされる)。アロンソは2005、2006年のF1チャンピオンで、7月29日に41歳となった熟練ドライバーである。ベッテルよりも6歳年長だ。

アロンソは2001年、当時のミナルディ(現アルファタウリの祖にあたるチーム)でF1レースデビューし、翌年は当時のルノー(現アルピーヌの祖にあたるチーム)でテストドライバー職に集中。2003年からルノーのレースドライバーとなり、同年ハンガリーGPでF1初優勝を飾る。そして2005、2006年と2年連続でドライバーズチャンピオンに輝いた。

2007年以降はマクラーレン、ルノー、フェラーリ、マクラーレンと渡り歩き、2018年を最後に一旦はF1のレースシートを降りる。F1活動休止と前後する時期からは、インディ500、ルマン24時間、F1モナコGPの世界3大レース制覇に意欲を燃やすなどして(現時点でインディ500のみ未勝利)、ダカールラリーにも参戦するなど、アロンソは活動の幅を広げていった。

2021年にアルピーヌからF1復帰し、今季2022年も同チームにて参戦中。F1通算32勝は歴代6位である(最後の勝利はフェラーリ時代の2013年。本稿の記録等はすべて2022年8月1日現在)。また、昨季限りでF1から引退したキミ・ライコネンのF1最多決勝出走記録(349戦)に迫っており、今季中の新記録樹立が見込まれている。アロンソは移籍決定に際し、「自分はこのスポーツで再び勝利するつもりだ」と、衰えぬモチベーションを強調している。

なお、アルピーヌは現在、アロンソとエステバン・オコン(2024年まで契約あり)のコンビで戦っているが、アロンソの後任として来季オコンと組む候補者としては、現リザーブドライバーで2021年F2王者のオスカー・ピアストリらの名が挙げられよう。

今季のF1は7月29〜31日のハンガリーGPが1カ月弱のサマーブレイク突入前のレースだったが、その直前直後に移籍に関する大きな動きが出た格好。来季のレースドライバーラインアップは固まってきつつある(アルファタウリの角田裕毅は来季残留が有力視される。なお、角田の僚友ピエール・ガスリーは残留が正式発表済み)。

#5 セバスチャン・ベッテル(アストンマーティン/2022年F1ハンガリーGP)《Photo by Pirelli》 #14 フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ/2022年F1ハンガリーGP)《Photo by Pirelli》 アロンソはアルピーヌからF1復帰した2021年、カタールGPでの3位が年間最高成績だった。《Photo by Pirelli》 2018年、トヨタとともにルマン24時間レースで初の総合優勝を飾ったアロンソ。《Photo by TOYOTA》 2017年、アロンソは当時のマクラーレン・ホンダでF1を戦っていた。《Photo by Honda》 アロンソの現時点で最後のF1優勝はフェラーリ時代、2013年のスペインGPである。《Photo by Pirelli》