自動車部品 他社牽制力ランキング2021《表提供 パテント・リザルト》

特許を申請した際に、特許を拒絶する理由として別の特許が引用される。こうした拒絶理由になった特許件数の多い企業は、「他社牽制力」があるといえる。パテント・リザルトによると2021年、自動車部品業界で他社牽制力の1位はデンソーだった。

パテント・リザルトは、総務省の日本標準産業分類を参考にした自動車部品業界の企業を対象に、2021年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された特許件数を企業別に集計した、『自動車部品業界 他社牽制力ランキング2021』をまとめ、7月7日に発表した。

言い換えると、技術開発において、競合他社が権利化する上で阻害要因となる、先行技術を多数保有している先進的な企業のランキングだ。パテント・リザルトの集計の結果、2021年に引用された特許が最も多い企業は昨年同様、デンソーだった。以下、2位アイシン、3位 日立アステモが続き、ボッシュに代わり9位にランクインした小糸製作所を除き、トップテンは同じとなった。引用されたデンソーの特許数は5273で、2位アイシン1745の約3倍。3位の日立アステモは1175だった。

1位:デンソー
最も引用された特許は「受取人が不在の場合でも配達物の受け渡しを確実に行える車両用配達物受取装置」に関する技術で、トヨタ自動車などの計23件の審査過程で引用されている。このほかには「状況に応じて自在な場所に配車可能な自動配車システム」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、ヤマハ発動機などの計9件の拒絶理由として引用されている。2021年に、デンソーの特許による影響を受けた件数が最も多い企業はトヨタ自動車(452件)で、次いで三菱電機(269件)となっている。

2位:アイシン
最も引用された特許は「トランスミッション周囲の空間の広狭に関わらず搭載できる安価な電動オイルポンプ」に関する技術。日本電産トーソクなどの計6件の審査過程で引用されている。このほかには「自動運転制御走行の為のより適切な推奨経路を探索できる経路探索システム」に関する技術も、日産自動車などの計5件の拒絶理由として引用されている。2021年に、アイシンの特許による影響を受けた件数が最も多い企業はトヨタ自動車(166件)、次いで本田技研工業(132件)となっている。

3位:日立アステモ
最も引用された特許は「移動体の将来位置を高精度に予測することができる移動体軌道予測システム」に関する技術。本田技研工業など計7件の審査過程において拒絶理由として引用されている。2021年に、日立アステモの特許による影響を受けた件数が最も多い企業はデンソー(120件)で、次いでトヨタ自動車(88件)となっている。

このほか、4位 住友電装は「電力供給が遮断されても他の電装品システムは駆動する電力分配装置」、5位 矢崎総業は「キャップ本体からの発泡性のシール材の膨張圧力による洩れ出しを防止する電線端末用キャップ」が、最も引用された特許として挙げられる。

なおランキングの集計対象は、日本特許庁に特許出願され、2021年12月までに公開されたすべての特許のうち、2021年1月から12月末までの期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された特許を抽出した。

パテント・リザルトでは、このランキングの詳細データを5万5000円で販売している。