平川亮らのトヨタ8号車が2022年のルマンを制した。《Photo by TOYOTA》

6月11〜12日に決勝が実施された「第90回ルマン24時間レース」(フランス/世界耐久選手権=WECの今季第3戦)でトヨタが1-2フィニッシュを飾り、同レース5年連続の総合優勝を達成した。優勝した8号車GR010の平川亮は日本勢5人目のルマン総合優勝者となった。

総合優勝を争う最上位クラス「ハイパーカー・クラス」への出走は、トヨタ(TOYOTA GAZOO Racing=TGR)の「GR010 HYBRID」2台を含む5台。トヨタ勢のレース運びは、ほぼ盤石といっていいものだった。

残り8時間12分頃に7号車GR010が「フロントモーター関連の電装系トラブル」でコース上に一時停止する場面があったものの、“再起動措置”で致命的な事態には至らず。ただ、8号車対7号車の高次元同門対決においては、ここで生じた差は小さいものではなく、7号車は2位に敗れることとなる。

優勝はトヨタGR010の8号車、ドライバーはセバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、そして平川亮の3人。平川は、ルマンを含むWECハイパーカー・クラスに参戦する8号車GR010のドライバーに今季から就任した28歳だ。ルマン出走経験は過去にもあるが、最上位クラスでのそれは今回が初めてという状況での初優勝達成となった。

平川亮のコメント
「伝説のドライバーが並ぶルマンウイナーのメンバーリストに名を連ねることができ、光栄です。正直なところ、まだ夢が叶ったという実感がありません」

「7号車とは素晴らしいバトルができました。自分がチームに加わって以来、たくさん助けてくれたセバスチャンとブレンドンには本当に感謝していますし、彼らと同じチームでドライブできたことも光栄でした」

「TGRのメンバーとして初めてのルマンで1-2フィニッシュを飾れたというのも最高ですし、ハードワークを続けてくれたチームの全員に感謝します。8号車は戦略もピットワークも完璧でしたし、一切トラブルも起こらないレースでした。これ以上のものは望めないと思います」

平川の初優勝によって、日本勢のルマン総合優勝者は5人となっている(関谷正徳、荒聖治、中嶋一貴、小林可夢偉、平川亮)。

小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペスの7号車は2位。可夢偉にとってはチーム代表兼任で迎えた初のルマンで、自身の連覇こそ叶わずも、チームを1-2という最高の結果に導いた。

小林可夢偉のコメント
「優勝を果たしたセバスチャン、ブレンドン、亮の3人を祝福します。残念ながら我々の7号車は朝方、トラブルに見舞われリードを失ってしまいました。8号車とはそれまでずっと僅差の良いバトルを繰り広げていただけにトラブルは本当に残念ですが、24時間レースではこういうことも時々起こります」

「とはいえ、7号車が無事にレースに復帰し、TGRの2台が同一周回の1-2でフィニッシュできたことはチームによる素晴らしい努力のおかげです。このレースウイーク、本当に頑張ってくれたマイクとホセ、そして、7号車のクルーに感謝します」

「1-2フィニッシュを目指してルマンに挑みました。チーム全員の頑張りによってそれを達成することができ、本当に感謝しています」

トヨタのルマン総合優勝は5年連続5度目。1-2フィニッシュは2年連続4回目となった。

来年、2023年のルマンには、ハイパーカー・クラスの競合相手が質、量ともに増えると予想されており、そのなかでトヨタが連覇を6に伸ばせるかどうか、より大きな注目が集まることになる(ルマンにおける連続総合優勝はポルシェの7が最高で、フェラーリにも6という記録がある)。

優勝を飾った#8 トヨタGR010。《Photo by TOYOTA》 優勝した(左から)ブエミ、平川、ハートレー。《Photo by TOYOTA》 #8 トヨタGR010《Photo by TOYOTA》 #7 トヨタGR010《Photo by TOYOTA》 2台のトヨタGR010は、予選1-2からレースをほぼ完全に支配した。《Photo by TOYOTA》 7号車ドライバー兼チーム代表としてルマンを戦った小林可夢偉(中央)。《Photo by TOYOTA》 来年以降、トヨタの覇道にはより厳しい戦いが待っている。《Photo by TOYOTA》