新型電気バスを発表するBYDジャパンの花田晋作取締役副社長《写真撮影 三浦和也》

BYD(比亜迪)の日本法人ビーワイディージャパン(BYDジャパン)は5月10日、日本市場向けに、小型電気バスの新型『J6』(ジェイシックス)と大型電気バスの新型『K8』(ケーエイト)を発表した。5月10日より予約を受け付け、2023年末に納車を開始する予定だ。

これら2車種の電気バスには、BYDの新型バッテリー「ブレードバッテリー」を搭載する。このバッテリーにより航続を、J6では約220km、K8では約270kmとした。

昨今、内燃機関の自動車を電気自動車へ転換する気運が高まっている。中でも、一度に多くの人を運ぶことができ、輸送あたりのCO2排出が少ない公共交通において、ディーゼルバス比で最大4割のCO2排出削減効果が見込まれる電気バスが関心を集めている。

BYDはグローバルで累計約7万台の電気バスを納入している。日本法人のBYDジャパンは、2015年に中国自動車メーカーとして初めて日本国内に電気バスを納入、以来、小型・中型・大型の電気バスを販売している。

BYD初の日本仕様車として2020年より納車を開始したJ6は、日本の交通需要にフィットする全長約7mの小型電気バスで、狭あい路線や地域のコミュニティバスなどに適している。同じく日本仕様車として2021年より納車を開始したK8は、日本の路線バスに最適な10.5mの大型電気バスだ。BYDジャパンは累計64台の電気バスを日本各地で納入しており、国内電気バスのシェアは約7割になる。

今回発表されたのはこれらの新型。新型J6は、車長×車幅×車高が6990mm×2080mm×3060mm、ホイールベースが4760mmで従来型と変わらず、バッテリー容量は従来の105.6kWhから125.7kWhに増強された。航続(乗車率 65%、エアコンなし)は200kmから220kmに延長、充電時間は約2.5時間で変わらず。充電方式はCHAdeMOだ。乗車定員は最大31人だったのが36人に増えた。

新型K8も車体寸法は従来型と変わらない。車長×車幅×車高は10500mm×2500mm×3360mm、ホイールベースは5500mmだ。バッテリー容量は従来の297kWhから314kWhに増強され、航続(乗車率 65%、エアコンなし)は250kmから270kmに延長している。充電時間は従来型の約6時間から約6.5時間に、若干増えている。充電方式はCHAdeMO。乗車定員は変わらず最大81人だが、フロアがフルフラットになった。

モデルチェンジは新開発のブレードバッテリーを採用したことによるもの。ブレードバッテリーは、BYDが2021年に発表したリン酸鉄リチウムイオン電池(LFP)だ。ブレードバッテリーでは、“刀”=ブレードのような細長く平たい形状のバッテリーセルそのものをバッテリーパックの構造部品とし、バッテリーパックに収めている。ブレードバッテリーは、バッテリーパックの空間利用率を従来比で約50%高めた。J6の定員増加とK8のフルフラット化は、ブレードバッテリーの採用で実現した。

ブレードバッテリーは釘刺し試験や高温試験などをクリア、LFP本来の高い安定性を確保したことに加え、LFPの弱点であったエネルギー密度が低い点(航続が短い)をカバーした。保証期間は従来型バッテリーの5年または40万kmから、8年または40万kmに伸びた。

BYDジャパンでは、J6とK8の納車を2023年末を目途に開始する予定だ。日本市場において2030年までに、小型・中型・大型合わせて4000台の電気バスを販売することめざす。

新型J6《写真提供 BYDジャパン》 新型J6《写真提供 BYDジャパン》 新型J6《写真提供 BYDジャパン》 新型J6《写真提供 BYDジャパン》 J6新旧比較《写真提供 BYDジャパン》 新型K8《写真提供 BYDジャパン》 新型K8《写真提供 BYDジャパン》 新型K8《写真提供 BYDジャパン》 新型K8《写真提供 BYDジャパン》 K8新旧比較《写真撮影 三浦和也》 ブレードバッテリー《写真提供 BYDジャパン》 ブレードバッテリー《写真撮影 三浦和也》 BYDのEV《写真撮影 三浦和也》 日本におけるBYD電気バスの納入実績《写真撮影 三浦和也》 日本におけるBYD電気バスの納入実績《写真撮影 三浦和也》 今後の展望《写真提供 BYDジャパン》