第1回名古屋モーターサイクルショーの様子《写真撮影 デイズ》

日本自動車工業会は4月20日、2021年度に実施した国内の二輪車市場動向調査の結果を公表した。それによると新型コロナの感染拡大で二輪車の良さが見直されて市場回復につながったが、これが一過性では終わらない可能性があることがわかったという。

この調査は2輪車ユーザーの属性、需要構造、購入や実際の使用状況を継続的に把握するために隔年で実施している。今回は直近1年間に2輪車を新車で購入したユーザー約5000名を対象に調査した結果をとりまとめた。

国内の二輪車市場は2015年度に40万台を割り込み、その後も減少傾向が続いたが、2020年度はコロナ禍の三密回避や中高年層のリターンライダーブームなどを背景に増加に転じ、さらに2021年度は7年ぶりに40万台を超える見通し。今回の調査では回復に転じた背景などにスポットをあてたという。

まず2021年に二輪車を購入したライダーの年齢層は、引き続き中高年齢層が主体となっているものの、40歳未満の構成比が32%と前回より3ポイント増えた。また全体の平均年齢も54.2歳と前回調査より0.5歳若返った。

また購入形態では買い替えが55%と引き続き最も多かったものの、前回調査よりも5ポイント減少した。その一方でブランク期間を経ての再購入が前回調査より5ポイント増の20%となった。その結果、2015年度以降の過去4回の調査で買い替えの割合が最も低く、再購入の割合が最も高い年度となった。

●コロナが二輪車市場に与えた影響
一方、今回の調査でトピックのひとつとしていたコロナ禍が二輪車に対する意識に変化を与えたかに関しては、新車を購入したライダーの8割がとくにコロナの影響はなかったと回答しているという。

しかし、調査に携わった日本自動車工業会調査部会の坂本二輪車分科会長は「逆に言うと2割のライダーが何らかの形で購入の際にコロナの影響があったと回答したことになる。またこれを購入形態別にみると、買い替えのライダーでコロナの影響があったという回答は非常に少なかったが、新規購入や再購入、さらに年齢層ではとくに若年層でコロナの影響があったという回答が相当数あった」と明かす。

さらに「126〜250ccの軽2輪、そして251cc以上の小型2輪の購入者層においては『自分自身のライフスタイルを再考するきっかけになった』とか、『自粛下においても楽しめる趣味』という価値観の増加が見受けられた」とも。

坂本分科会長によると「もともと我々としては三密を避けられるということだけが2輪車購入の理由であれば、原付1種や2種はともかく、趣味性が非常に高い軽2輪や小型2輪の好調な推移に結び付くとは考えにくいのではないかという仮説を立てて」調査に臨んだという。

その結果、「ライフスタイルを再考するきっかけになった、自粛下でも楽しめるといった価値観の増加や浸透、それに伴って2輪車に注目、あるいは改めて2輪車を見直すという動きがもたらされて、それが現在の活況な市場動向の要因になっているという側面もあることが見て取れる」と坂本分科会長は指摘。

その上で「今回の調査を経て2輪車の利便性や魅力が見直されてきていて、それが新規顧客の獲得、再購入の促進につながって市場を押し上げているという動向をみてとることができた。また2輪車に対する価値観や認識も変わってきていることからも、現在の堅調な市場推移が決して一時的なブーム、一過性のものではなくて、先の長い需要につながっていく可能性を大いに秘めているといえる」と総括した。

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