国際学生“社会的EV”デザインコンテスト2022《電気自動車普及協会 発表資料》

電気自動車普及協会(APEV)主催の「国際学生“社会的EV”デザインコンテスト2022」の概要が20日、APEVから発表された。近年のEV認知度や普及状況から組織のあり方を問い直し、デザインコンテスト」もリニューアルする。

APEVの「学生デザインコンテスト」はこれまでに4回開催されている。過去4回は主にデザイナーを志望する学生向けに新しいEVの形やアイデアを競うものだった。コロナパンデミックをはさんで1回の休止をはさんで5回目となる今回は、アイデアを車両デザインだけでなく、社会課題解決のソリューションアイデアまで広げる。

また、これから求められる人材育成の機能も強化する。MaaS革命、CASE車両の時代では、デザイナーもエンジニアも文理融合のスキルや素養をもった人が欠かせなくなる。APEVでは、文系・理系、専門分野を問わず、持続可能な社会に対するビジョンをもち、サイエンスオリエンテッドな思考をベースに課題解決に取り組める人材を「モビリティアーキテクト」と定義する。コンテストはモビリティアーキテクトを育成する役目も担う。

APEVはもともと温暖化対策のためにはEVが必要という認識で作られ、普及啓発活動を展開していた。しかし、近年は温暖化対策やEVは当たり前のもになり、従来のような普及啓発から活動フェーズを一歩進める必要がでてきた。EVやFCVなど未来の車両をデザインするだけでは不十分であり、新しい市場や産業をさまざまな業界とともに創っていくための戦略変更であり、コンテストのリニューアルとなった。

コンテストの応募作品は、2040年の社会背景の考察とそこから導き出されるコンセプト(ストーリー)が必須となる。デザインコンセプトなので、なんらかのアウトプット(作品)も必要だが、アートデザインでなくとも、手書きのコンセプトイメージでも可能だ。美大やデザイン系の学生が有利になることはないという。

新しい人材に求められる、課題の分析能力や科学的なソリューションを考える力を評価する。応募作品の選考過程で3回のワークショップが予定されている。ワークショップでは、協賛企業の審査員やAPEVスタッフなどのレビューとアドバイスを受けることができる。2回の選考で10作品に絞り込み、10月には最終的なグランプリや各賞が決まる。

APEVがいう「モビリティアーキテクト」=融合型人材は、変革に晒されている自動車業界、周辺産業が求める人材でもある。現時点での協賛企業は、デル・テクノロジーズ、日本IBM、日野自動車、MONETテクノロジーズ、カーデザインアカデミー、CCCマーケティング、ベネッセホールディングス、ワコムなどが名を連ねる。

協賛企業は、コンテストを通じてインターンや高スキルな新卒採用候補の発掘につなげることも不可能ではない。学生側も企業と接する機会が増えることになり、応募や入賞を就活に生かすこともできる。

APEVでは2月には応募作品のエントリーを始める予定だ。また、協賛企業の二次募集も行われる。

APEVが掲げる「モビリティアーキテクト」像《電気自動車普及協会 発表資料》