エッジAIを組み込んだ効率的なデータ収集《図版提供 デンソーテン》

デンソーテンは9月28日、撮影した車両や歩行者などをドライブレコーダーなどの組込み機器(エッジ端末)SoC上でリアルタイムに認識する軽量・高性能なエッジAI(人工知能)技術を開発したと発表した。

デンソーテンは2015年(当時は富士通テン)、クラウドセンターと連携し、走行中の膨大な記録データの中から危険と判断された画像だけをリアルタイムに確認できる「クラウド連携ドライブレコーダー」を商品化した。しかし近年、コネクティッドカーの普及に伴うデータ活用の多様化・高度化によって、ドライブレコーダーが収集する画像データに対する需要は増加。画像データをクラウドセンターに送信するための通信コストや、クラウドセンターのストレージコストなど、データ収集コストの増加が見込まれている。

その解決策となるのが、撮影した画像に映り込んでいる物体を認識するエッジAIを搭載だ。例えば、看板や車の台数などの認識結果を文字データとしてクラウドセンターに送信。クラウドセンターの認識結果に基づいて、本当に必要な画像データの送信だけを車載機器へ要求することで、データ収集に係るコストを大幅に削減する。今回、デンソーテンはこのような車載用途に適用可能な、軽量・高性能なエッジAI技術を開発した。

デンソーテンでは、様々な大学や研究機関、企業などで開発されている高性能の画像認識AIから、車載機向けのベースとなるAIを選定。性能確保のために残すべき部分を特定し、そうでない部分を簡単な演算に置き換えることでAIモデルの演算量・メモリ量を削減した。今回開発したエッジAI技術は、高性能パソコン向けのGPUなどで実行される代表的なAIである、Darknet53+Yolov3と比較して、1/60以下の演算量と1/32以下のメモリ量で同等の認識性能を実現している。

デンソーテンでは、これら技術開発で作成したAIモデルを同社製品に適用。さらに、収集画像の個人情報保護、車両や歩行者による通行量の把握、防犯カメラでの侵入検知、店舗内カメラによる来店客の移動軌跡の検出など車載以外の用途も提案していく。

AIモデル開発のプロセスと課題《図版提供 デンソーテン》