F1ハンガリーGP《Photo by Florion Goga - Pool/Getty Images Sport/ゲッティイメージズ》

ハンガリー・ハンガロリンクで1日、F1第11戦ハンガリーGPの決勝レースが行われ。雨で大荒れとなったスタートで2位に浮上し、ルイス・ハミルトン(メルセデス)の脱落でトップに立ったエステバン・オコン(アルピーヌ)が最後までポジションを守りきり、初優勝を飾った。

前日に行われた公式予選ではルイス・ハミルトン(メルセデス)が7戦ぶりに自身101回目となるポールポジションを獲得。2番手にバルテリ・ボッタス(メルセデス)がつけ、メルセデスが盤石の布陣で決勝レースに挑んだ。現在ランキングトップのマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が3番手、チームメイトのセルジオ・ペレスが4番手、そして同じホンダのPUを積むピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)が5番手と、メルセデスの布陣を崩すべく、ホンダ勢がその後ろに集結した。

決勝レースは70周。スタート直前に雨が降り始め、全車インターミディエット(浅溝)タイヤでスターティンググリッドに並んだ。スタートでホイルスピンをしたボッタスが遅れ、ハミルトンとフェルスタッペンがトップを奪い合う展開になったが、遅れたボッタスが前に出たランド・ノリス(マクラーレン)に追突し、多くのマシンを巻き込むクラッシュに発展した。これでボッタス、ノリス、シャルル・ルクレール(フェラーリ)、ランス・ストロール(アストンマーチン)、セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)がリタイヤ。フェルスタッペンのマシンは大きな損傷を受け、順位も大きく変動した。

このアクシデントで影響を受けなかったのはハミルトンだけ。フェルスタッペン、ガスリーらは大きく順位を下げ、逆にエステバン・オコン(アルピーヌ)が8番手スタートから2位に、セバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)が10番手スタートから3位に、カルロス・サインツ(フェラーリ)が15番手スタートから4位に、角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)が16番手スタートから5位に、ニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)に限っては18番手スタートから6位まで12ポジションもアップしてきた。

これでレースはレッドフラッグが振られ中断。その間に雨も止み、コースは徐々に乾いていった。

しかしまだ濡れているところもあったため、残った15台はインターミディエットタイヤのままコースイン。1周ののちグリッドについてスタンディングスタートを行うことになったが、トップのハミルトン以外は全員ピットインしてミディアムタイヤに履き替えた。スターティンググリッドに並ぶのはハミルトンただ1人。これまで見た記憶がない、たった1台によるレーススタートが行われた。ハミルトンのスタート直後、ピットレーンからは続々とマシンがコースイン。ハミルトンは翌周にピットインしてミディアムタイヤに履き替えたが、最後尾まで順位を落としてしまった。

これでオコンがトップに浮上。2位ベッテル、3位ラティフィ、4位角田というオーダーに。その後はオコンとベッテルが逃げ、3位以下を引き離していく展開となった。

ペースが上がらない3位ラティフィを抜きあぐねる角田だったが、5位のサインツよりペースは速く、3位以下は均衡した展開に。後方では大きくマシンを破損しながらも懸命に走行を続けるフェルスタッペンが11位から9位まで順位を上げ、ハミルトンは11位まで順位を挽回していた。

20周目にハミルトンがピットインしてタイヤをハードに履き替え12位でコースに復帰したが、翌周にピットインしたダニエル・リカルド(マクラーレン)とフェルスタッペンがコースに戻ると、ハミルトンはなんと二人の前に。フェルスタッペンはハミルトンの前でコースに戻る作戦だったが、逆転を許してしまった。

その後ハミルトンはオーバーテイクを繰り返し、28周目にはタイヤ交換を済ませ6位を走る角田の真後ろにつけた。ガスリーのピットインで5位争いとなった2人だが、角田は巧みに防戦するも、32周目にこの戦いに決着が付き、ハミルトンは5位に浮上した。

その後ハミルトンは48周目に3度目のピットインを行いミディアムタイヤで改めて上位浮上を目指した。計算上はトップに追いつく驚異的な的なペースで、4位フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)まで15秒あった差をみるみる縮めてきた。54周目には1秒の差となったが、2度のワールドチャンピオン経験を持つベテラン、アロンソは簡単に抜けない。もちろんトップを走るチームメイトのオコンのためにも抜かせるわけにはいかない。結果アロンソは65周目まで12周にわたりハミルトンの攻撃を抑えたが、アロンソの少しのミスを突いてハミルトンは4位に浮上した。67周目にサインツを抜いて3位に浮上。しかしその時点で2位ベッテルとの差は9秒あり、そのままチェッカーを受けた。

トップを走行していたオコンは終始ベッテルから激しい攻撃を受けたが守りきり、参戦78戦目にして初の優勝を飾った。今年からF1に参戦しているアルピーヌにとってもこれが初で、個人とチームのダブルでの初優勝となった。

2位はベッテルで第6戦アゼルバイジャンGP以来、今季2度目の表彰台。最後尾から素晴らしい戦略で追い上げたハミルトンが3位となった。フェルスタッペンは大きく破損したマシンに手こずりながら10位入賞を果たしたが、チャンピオンシップポイントは逆転され、ハミルトンが192ポイントでランキングトップに浮上。フェルスタッペンは6ポイント差の2位に転落した。

4位はサインツ、5位はアロンソ。アルファタウリ・ホンダはガスリーが6位、角田が7位でダブル入賞。8位、9位にウイリアムズのラティフィとジョージ・ラッセルが入り、ウイリアムズは2019年第11戦ドイツGPのロバート・クビサ以来の入賞となった。

※車検にて、2位のベッテルのマシンの燃料残量が検査サンプルとして必要な量が残っていなかったとの指摘により、この結果は暫定です。


■ハンガリーGP 決勝レース結果(暫定)
1. エステバン・オコン(アルピーヌ)
2. セバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)
3. ルイス・ハミルトン(メルセデス)
4. カルロス・サインツ(フェラーリ)
5. フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)
6. ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)
7. 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
8. ニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)
9. ジョージ・ラッセル(ウィリアムズ)
10. マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
11. キミ・ライコネン(アルファロメオ)
12. ダニエル・リカルド(マクラーレン)
13. ミック・シューマッハ(ハース)
14. アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)
以上完走

--. ニキータ・マゼピン(ハース)
--. ランド・ノリス(マクラーレン)
--. バルテリ・ボッタス(メルセデス)
--. セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)
--. シャルル・ルクレール(フェラーリ)
--. ランス・ストロール(アストンマーチン)

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