家畜ふん尿由来RNG製造・供給バリューチェーンイメージ《図版提供 豊田通商》

豊田通商アメリカ(TAI)は、米国カリフォルニア州で再生可能天然ガス(RNG)の製造・販売を行うマーセドパイプライン社に出資を行い、2022年初旬の商用化に向け7月下旬(予定)より生産・試運転を開始する。

パリ協定に復帰した米国は、2030年までに温室効果ガス(GHG)を2005年比で50〜52%削減、2050年までにカーボンニュートラル実現を掲げている。事業セクター別でGHG排出割合をみると、港湾を含む輸送業が29%、農畜産業が10%を占めるなど、各分野でGHG削減とエネルギーの利活用が求められている。GHG排出による公害問題を抱えるカリフォルニア州では、ロサンゼルス港(LA港)・ロングビーチ港(LB港)が進める2030年までの港湾荷役機械ゼロエミッション化計画や、酪農エリアでのRNG事業を促進させる炭素クレジット制度など、州政府の積極的な規制改革・支援のもと、環境負荷低減に向けた取り組みが推進されている。

マーセドパイプライン社は、カリフォルニア州内の15社の牧畜業者と提携しており、家畜ふん尿から発生するバイオガスを大気放出前に収集し、メタンガスに精製。既存の天然ガスのパイプラインを介して、RNGとして供給する事業を行っている。水素製造でも、RNGなどのガス由来は製造効率も良く、有力な手法として活用されている。

TAIは、マーセドパイプライン社への出資を通じて、RNG由来の水素の地産地消のバリューチェーン構築を目指すとともに、2020年9月よりLA港で開始している港湾荷役機械動力源の水素燃料電池化(FC化)の取り組みとのシナジー創出を図るなど、港湾のゼロエミッション化を積極的に推進していく計画だ。