今季初優勝を飾った#2 ニューガーデン。《Photo by INDYCAR》

NTTインディカー・シリーズ第10戦の決勝レースが現地4日、米オハイオ州のロードコース「ミッドオハイオ」にて実施され、このところ“逸勝”のレースが続いていたジョセフ・ニューガーデンが待望の今季1勝目をあげた。佐藤琢磨は10位。

ミッドオハイオの予選でポールポジションを獲得したのは、2017&19年シリーズチャンピオンの実力者ジョセフ・ニューガーデン(#2 Team Penske/シボレー)。これで3戦連続となるポールポジションだが、過去2戦は終盤の逸勝という展開が続いており、今季まだ勝っていない。今度こその思いでニューガーデンは決勝に臨む。

佐藤琢磨(#30 Rahal Letterman Lanigan Racing/ホンダ)は今季、予選での苦闘が目立つ印象だが、今回も予選19位、ローリングスタート隊列の10列目右サイド発進から追い上げを目指す。

なお、クラッシュの影響で2戦休んだフェリックス・ローゼンクヴィスト(#7 Arrow McLaren SP/シボレー)と、トレーニングのサイクリング中における負傷で1戦休んだリナス・ビーケイ(#21 Ed Carpenter Racing/シボレー)、両者とも今回のレースで戦列に戻っている。

ドライ路面での80周レースは、序盤に2回のフルコースコーションとなるアクシデントがあったものの、その後は比較的派手さのない展開に終始した。ポール発進のニューガーデンは、終盤にこそマーカス・エリクソン(#8 Chip Ganassi Racing/ホンダ)の接近を許しはしたが、スタートから実質の先頭の座を譲らないまま逃げ切って、待ち焦がれていた今季初優勝を達成。これはニューガーデンのみならず、強豪陣営ペンスキー(Penske)にとっても10戦目のシーズン初白星となった。

逸勝続きにピリオドを打った今季1勝目。当代インディカーにおける最強の組み合わせのひとつであるニューガーデン&ペンスキーにとっては、遅すぎるシーズン初勝利だ。ニューガーデンは「今季ここまでのほとんどのレースでも、我々はゲームに参加できていたし、良いパフォーマンスを発揮していたんだ。今日ここでついに勝てたのは素晴らしいことだよ」と語り、昨季最終戦以来、久々の勝利の味を噛みしめていた。

なお、ペンスキーのインディカー・シリーズ初優勝は1971年の7月3日、つまり50年と1日前に達成されていたということで(達成地はポコノ・レースウェイ)、記念のレースウイークに待望の復活勝利実現ともなっている。

決勝2位はエリクソン。3位にはシリーズリーダーのアレックス・パロウ(#10 Chip Ganassi Racing/ホンダ)が入り、今回8位だったランキング2位のパトリシオ・オワード(#5 Arrow McLaren SP/シボレー)に対するリードを39点に拡大している(384対345)。

決勝4位は昨季王者のスコット・ディクソン(#9 Chip Ganassi Racing/ホンダ)。Chip Ganassi勢は今回、2-3-4フィニッシュだ。目下ランキング3位の6冠王ディクソンは、若き僚友パロウを56点差で追いかける。ランキング4位は今回勝ったニューガーデンで、首位パロウとは69点差。

琢磨は最終盤、12番手まで上がっての走行となっていた。さらに上位にピットインしたマシンがあり、最終ラップには前を走っていたセバスチャン・ブルデー(#14 A.J.Foyt Enterprises/シボレー)をパスし、10位でフィニッシュ。スタート位置からは9つゲインしたレースリザルトとなった。

#30 佐藤琢磨のコメント
「19番手スタートから10位でのゴールができました。難しい週末でしたが、レースではまずスタートがうまくいきましたね。アクシデントも2回連続でうまく回避できました。今日の自分のリスタートはうまくいっていたということです。その後はリズムに乗っていきました」

「戦略的には、序盤の2回のあとはフルコースコーションが出なかったので、なにもできませんでしたね。ほぼ全チームが2ストップでゴールまで走りきる戦略になっていたと思いますが、1回目のピットストップを遅らせたことが成功して、激しくレースを戦うことができました。最後にセバスチャン・ブルデーとのバトルが可能になったのは、チームの作戦が良かったからです。彼を最終ラップにパスし、10位でゴールすることとなりました」

「自分たちの望んでいた最高の結果ではありませんが、今週末はまずまずの結果を得られたと思います。19番手からのスタートでトップ10入りができたのですから、今回はこの結果を受け入れます。このあと、チームのクルーたちは少しだけですが夏休みをとることができます。マシンセッティングについては、多くのデータ分析を行ないます。テストも1回ありますし、シーズン終盤の戦いがとても楽しみです」

琢磨のシリーズランキングは前戦終了時と変わらず10位だ(226点)。

現状では、今季のインディカー・シリーズはこのあと約1カ月の“実戦ブレイクタイム”に入るかたちになる。そして8月と9月にそれぞれ3連戦(3週連続開催)を実施、というスケジュールが予定されている。

次戦第11戦は現地8月8日決勝、テネシー州ナッシュビルの市街地コースにおける初開催戦「Big Machine Music City Grand Prix」の予定だ。

#2 ニューガーデンはレースをほぼ完全に支配して、ポール・トゥ・ウインを決める。《Photo by INDYCAR》 今季初優勝の歓喜、ジョセフ・ニューガーデン。《Photo by INDYCAR》 左から2位エリクソン、優勝ニューガーデン、3位パロウ。《Photo by INDYCAR》 決勝2位の#8 エリクソン。《Photo by INDYCAR》 決勝3位の#10 パロウ。《Photo by INDYCAR》 決勝4位の#9 ディクソン。《Photo by INDYCAR》 #30 佐藤琢磨は決勝10位、シリーズランキングでも現在10位(写真は予選日の現地3日)。《Photo by INDYCAR》