?動?部品業界 他社牽制?ランキング2020 上位10社《図版提供 パテント・リザルト》

特許を申請した際に、特許を拒絶する理由として別の特許が引用される。こうした拒絶理由になった特許件数の多い企業は、「他社牽制力」があるといえる。パテント・リザルトによると2020年、自動車部品業界で他社牽制力の1位はデンソーだった。

パテント・リザルトは、総務省の日本標準産業分類を参考にした自動車部品業界の企業を対象に、2020年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された特許件数を企業別に集計した、『自動車部品業界 他社牽制力ランキング2020』をまとめ、7月5日に発表した。

言い換えると、技術開発において、競合他社が権利化する上で阻害要因となる、先行技術を多数保有している先進的な企業のランキングだ。パテント・リザルトの集計の結果、2020年に引用された特許が最も多い企業は昨年同様、デンソーだった。昨年5位のアイシン精機と同8位のアイシン・エィ・ダブリュが経営統合して設立されたアイシンが2位。同3位だった日立オートモーティブシステムズがケーヒン、ショーワ、日信工業を吸収合併して設立された日立アステモが3位。昨年2位の住友電装は4位にランクダウンするなど、経営統合や合併などにより2位以下の順位は大きく変動した。引用されたデンソーの特許数は5081で、2位アイシン1744の約3倍。3位の日立アステモは1123だった。

●1位:デンソー

最も引用された特許は「ゲート絶縁膜が破壊されることを防止しつつ、オン抵抗上昇を抑制できるSiC半導体装置」(トヨタ自動車、豊田中央研究所と共同出願)に関する技術。この特許は、富士電機などの計11件の審査過程で引用されている。このほかには、「走行軌道生成プログラム」に関する技術が、引用された件数が多い。

デンソーの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、トヨタ自動車(285件)で、次いで三菱電機(240件)、日立アステモ(213件)となっている。

●2位:アイシン

最も引用された特許は「路面状況に応じた運転支援を行う装置」に関する技術で、三菱電機などの計4件の審査過程において引用された。このほかでは、「交流の回転電機を制御する回転電機制御装置」に関する技術などが、引用された件数の多い特許だ。

アイシンの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、トヨタ自動車(111件)で、次いで本田技研工業(90件)、デンソー(69件)。

●3位:日立アステモ

最も引用された特許は「走行環境の影響で発生する精度低下を抑制する車両位置推定システム」に関する技術で、パイオニアの「地物データ構造、記憶媒体、情報処理装置」関連特許など計7件の審査過程で拒絶理由として引用された。

日立アステモの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、デンソー(97件)で、次いでトヨタ自動車(74件)、三菱電機(57件)。

4位の住友電装は「電源装置と電気ボックスを接続する電源線のサイズダウン技術」、5位の矢崎総業は「輸送時等の搬送性を高めると共に、車種ごとに設定された外装形状を容易に得られ、コストを低減できる車両ケーブル用外装部材」が、最も引用された特許だった。

なおランキングの集計対象は、日本特許庁に特許出願され、2020年12月までに公開されたすべての特許のうち、2020年1月から12月末までの期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された特許を抽出した。

パテント・リザルトでは、このランキングの詳細データを5万5000円で販売している。