アウディ RS3 新型のプロトタイプ《photo by Audi》

アウディ(Audi)は6月22日、現在開発を進めている新型『RS3スポーツバック』と新型『RS3セダン』に、「RSトルクスプリッター」を初採用すると発表した。

両車は、新型『A3スポーツバック』と新型『A3セダン』をベースに、アウディスポーツが開発を進めている高性能モデルだ。アウディ「RS」シリーズの最新モデルになる。

◆後輪の左右間で可変トルクベクタリングが可能に

アウディは初めて、新型にRSトルクスプリッターを採用する。RSトルクスプリッターは、後輪の左右間で可変トルクベクタリングを可能にするもの。従来のマルチディスククラッチとは異なり、RSトルクスプリッターは各ドライブシャフトに、それぞれ電子制御マルチディスククラッチを備える。

スポーツ走行時には、RSトルクスプリッターは負荷が高まるにつれて、後輪外側への駆動トルクを増加させ、アンダーステア傾向を低減する。左カーブではトルクを右後輪に伝達し、右カーブではトルクを左後輪に伝達。直進時には、両方の車輪にトルクを伝達する。これにより、とくに高速コーナリングで最適な安定性と最大の敏捷性が得られるという。

サーキットを走行する場合、RSトルクスプリッターは、後輪の片側にすべてのエンジンパワーを伝達することにより、ドリフトを可能にする。トルクの配分は、「アウディドライブセレクト」で選択されたモードと走行状況によって決定される。

2つのマルチディスククラッチには、それぞれコントロールユニットがあり、ESCのホイールスピードセンサーを使用して車速を測定する。縦方向と横方向の加速度、操舵角、アクセルペダルの踏み込み量、ギア、ヨー角なども、トルク配分を決める要因になる。

◆「アウディドライブセレクト」でRSトルクスプリッターの特性を変更

アウディドライブセレクトによって、RSトルクスプリッターの特性は変更でき、選択したモードに応じたハンドリングを可能にする。「コンフォート/エフィシエンシー」、「オート」、「ダイナミック」、「RSパフォーマンス」、「RSトルクリア」の5種類のモードの特性が、システムに保存される。

コンフォート/エフィシエンシーモードでは、フロントアクスルを優先しながら、4輪すべてにトルクが分配される。オートモードでは、トルク配分のバランスを追求し、アンダーステアでもオーバーステアでもないニュートラルな特性が追求される。一方、ダイナミックモードは、最大限の敏捷性とダイナミクスの向上のために、可能な限り多くの駆動トルクをリアアクスルに伝達する。これは、RSトルクリアモードで顕著になり、ドライバーはサーキットなどにおいて、ドリフトに持ち込めるという。

さらに、アウディは、エンジンとトランスミッションの特性を調整した。このセットアップは、サーキット向けのRSパフォーマンスモードにも適用される。RSパフォーマンスモードは、ピレリ「Pゼロ・トロフェオR」パフォーマンスセミスリックタイヤ向けに特別に調整された。このモードでは、RSトルクスプリッターは、アンダーステアとオーバーステアをできるだけ抑え、ダイナミックでスポーティな乗り心地を実現するという。これにより、コーナーからの加速が速くなり、ラップタイムが向上する、と自負する。

◆モジュラービークルダイナミクスコントローラー

RSトルクスプリッターは、「モジュラービークルダイナミクスコントローラー(mVDC)」に接続されている。モジュラービークルダイナミクスコントローラーは、新型『A3』シリーズと新型『S3』シリーズに続いての採用となる。

モジュラービークルダイナミクスコントローラーは、RSトルクスプリッターの2つのコントロールユニット、アダプティブダンパー、ホイールセレクティブトルクコントロールを同期させて、高精度のステアリングとハンドリングを可能にする、としている。

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