アルプスアルパインが開発した障害物検知ユニット《写真提供 アルプスアルパイン》

アルプスアルパインが開発した障害物検知ユニットが、電動カートメーカー・福伸電機が6月16日に発売した障害物検知機能付き電動カート「POLCAR SPX-1」に採用された。

採用された障害物検知ユニットは、センサとデータ処理のためのコントローラを一体化したモジュール製品。センサ部には、アクティブIRステレオカメラを利用した。赤外線を照射することで、特徴点が少ない物体や視認性の低い暗闇など、通常のカメラでは検知が難しい環境でも正確に物体を把握できる。さらにLiDARと比べてコストやサイズ、重量を抑え、一般的なTOFカメラ(光の飛行時間を利用して三次元情報を計測可能なカメラ)の測距性能を上回る、最大6mの範囲を検出できる。

また、業界に先駆けて独自開発した歩道走行用の障害物検知アルゴリズムにより、壁やフェンス、路上のブロックや段差、路面の穴や溝、法面のほか、電動カートによる事故多発の原因となる踏切の遮断桿も検出対象として捉える。天候の変化や日向・日陰の混在など、光量の変化が大きい環境でも物体との距離やその形状を把握。さらに白線や点字ブロックなど障害物として誤検出されやすい路面サインについては、AIを活用した画像認識により誤検出を軽減する。電動カートだけでなく、時速6kmまでの移動体であれば、本ユニットを搭載することで障害物検知によるさまざまなソリューションを実現できる。

アルプスアルパインでは今後、走行や障害物回避といった一連の動作の完全自動化や、公共空間で生活する人々との共生・協調する機能に加え、本ユニットで検知した各種データをクラウドとつないで解析することで、データビジネスへの応用も視野に入れ開発を強化していく。

福伸電機・障害物検知機能付き電動カート「POLCAR SPX-1」《写真提供 アルプスアルパイン》