遊星ギヤ用保持器付き針状ころ《写真提供 NTN》

NTNは、遊星ギヤ用保持器付き針状ころを開発。5月26日に開幕した「人とくるまのテクノロジー展2021オンライン」に出展している。

近年、低燃費化を背景としたATの多段化に伴い、一部の遊星ギヤの回転数が高くなり、遊星ギヤ用軸受には高速回転への対応が求められている。また、ATの重量を抑えるために、軸受を含む各部品は小型・軽量化。従来と同等のトルクを出力するために、軸受には高い負荷がかかるなど、軸受の使用条件はますます過酷になっている。

開発品は、「浸炭鋼溶接保持器」と「高負荷条件用新クラウニングころ」の開発により、こうした過酷な使用環境への対応を可能とした。保持器は、これまで使用していた特殊低炭素鋼よりも高強度な浸炭鋼を採用し、疲労強度を向上させることで、高速回転性能を従来品比で約10%向上させた。ころについては、クラウニング部の真円度の向上により回転時のころの挙動を安定させることで、従来品よりも約8%の静音化を達成し、静粛性が求められる電動車両のニーズにも対応。また、クラウニング形状を最適化することで、傾き条件下でも、接触応力やエッジ応力の増加を抑制し、厳しい潤滑条件での表面起点型剥離寿命を改善している。

NTNは、遊星ギヤ用保持器付き針状ころの提供を通じてATの多段化や小型・軽量化に寄与し、車両の低電費化・燃費化に貢献していく。

オートマチックトランスミッションにおける適用箇所《写真提供 NTN》