マクラーレンのランド・ノリス(2021年シーズン型マシン発表会にて)。《Photo by McLaren》

19日、F1を戦うマクラーレンが自陣のレースドライバー、ランド・ノリスとの契約延長を発表した。期間は2022年からの複数年とされる。マクラーレンはノリスとダニエル・リカルドのコンビで中長期的に戦っていくことが確定した。

ランド・ノリスは1999年11月13日生まれの英国出身ドライバー。現時点のF1レースドライバー20人のなかでは、2000年生まれの角田裕毅(アルファタウリ)の次に若いドライバーだ。角田が今年の誕生日を迎えていることと、ノリスと同じ1999年生まれのニキータ・マゼピン、ミック・シューマッハ(ともにハース)も既に今年の誕生日を迎えていることから、現状、シンプルな年齢ベースでは角田とノリスが21歳で最年少、ということになる。

角田、マゼピン、シューマッハは今季の新人レースドライバーだが、ノリスはこの若さでもう3年目。2019年からマクラーレンのレースドライバーを務めており、昨季のオーストリアGPと今季のエミリア・ロマーニャGPで2度の決勝3位(現時点の自己最高位)という結果も残している。今季は第4戦終了時点でドライバーズランキング4位、さらに評価を高めているところだ。

マクラーレンはF1界の名門チームのひとつだが、2013年あたりから低迷傾向に陥ってしまっていた。ホンダとのタッグ(2015〜17年)がうまく機能せず、ドン底状態も味わった。しかし最近はチーム変革も実り復調してきており、昨季2020年はコンストラクターズランキング(チーム部門ランキング)で8年ぶりに3位へと返り咲き。今季はパワーユニットをルノー(2018〜20年搭載)からメルセデスにスイッチし、通算7勝の実績を誇るベテラン、ダニエル・リカルドをノリスの僚友として、継続的な上昇、その先の完全復活を目指している。

そしてマクラーレンはノリスとの契約を延長した。期間は2022年からの複数年とされる。マクラーレンはリカルドともロングタームの契約を結んでおり、ノリス&リカルドのコンビで中長期的に戦っていくことが確定したのだ。

ノリスはF1のレースドライバーになる前、2017年からマクラーレン・ファミリーに加わっており、チームとは既に5年に及ぶ濃密な関係がある。今回の残留も極めて自然な流れに見えるものといえるだろう。ノリス自身、「本当に嬉しく思うよ。チームには5年近く在籍しているので、家族の一員だと感じている。他のところでキャリアの次のフェイズに入ることは想像できなかったからね」と語っている。

F1界では若手精鋭ドライバーがチームへの長期残留を決める傾向が強まっている。もちろん、F1では成績次第でドライバー側(あるいはチーム側)が契約解除できる“パフォーマンス条項”のようなものが含まれているケースも多いなど、勢力図の変化次第で何が起きるか分からないのが常ではあるが、傾向としては明確だ。

1997年生まれの現在23歳、ともに優勝経験があるマックス・フェルスタッペンとシャルル・ルクレールは、フェルスタッペンがレッドブルと2023年まで、ルクレールはフェラーリと2024年まで、いずれも現所属チームとの長期契約下にある。ノリスもマクラーレンにおいて今回、同様の状況になった。同世代のライバルとして、そしてチームの顔として、争い続けていくことになりそうな3人だ。

「僕の目標はレースに勝ち、F1のチャンピオンになることだ。このチームでそれを実現したいと思っている」とも語るノリス。名門マクラーレン完全復活の旗手となって、世界の頂点を極めることができるか。近い将来、フェルスタッペンやルクレールと熱い覇権争いを展開してくれることを期待したい。

なお、マクラーレンは現地20日に始まる今季F1第5戦、2年ぶりに開催されるモナコGP(モナコは伝統的に木曜が走行初日)において、戦略的パートナーであるガルフ・オイル伝統のレーシングカラーを1戦限定のスペシャル・リバリーとして展開、マシンやレーシングスーツを彩ることになっている。

マクラーレンMCL35Mを駆る#4 ランド・ノリス(2021年第2戦エミリア・ロマーニャGP)。《Photo by McLaren》 3位に入り、チームスタッフと喜び合う#4 ノリス(2021年第2戦エミリア・ロマーニャGP)。《Photo by McLaren》 ノリスはF1で自身2度目の3位に(2021年第2戦エミリア・ロマーニャGP)。《Photo by McLaren》 2021年モナコGPにマクラーレンは“ガルフカラー”で参戦する。《Photo by McLaren》 2021年モナコGPにマクラーレンは“ガルフカラー”で参戦する。《Photo by McLaren》 ガルフカラーのマシンとリカルド(左)&ノリス(右)。《Photo by McLaren》