(イメージ)《写真提供 写真AC》

「稼ぐ力」がモノづくりと投資という違いがあるとはいえ、上には上があるものだ。

ソフトバンクグループが発表した2021年3月期決算は、売上高が5兆6281億円に対し、純損益が4兆9879億円の黒字(前年は9615億円の赤字)で、国内企業で過去最高となった。コロナ危機のなか世界的に金融緩和が進行、各国の株式市場にお金が流れ込んで投資先の海外企業の株価が急上昇し、含み益が膨らんだからだという。

これまで国内企業で純利益が高かったといえば、トヨタ自動車が18年3月期に2兆4939億円(米国会計基準)を記録したが、ソフトバンクGはその2倍以上の桁外れの儲けとなった。

もっとも、トヨタ自動車が発表した2021年3月期決算は、売上高が前年比8.9%減の27兆2145億円、最終的なもうけを示す純利益は10.3%増の2兆2452億円を計上した。感染拡大の影響で急減した世界販売が、昨秋以降は米中市場で急回復。生産コストを下げて収益力を高め、業績の回復が鮮明となった。

きょうの各紙を見ると、1面では「トヨタ最終益2.2兆円」を読売と日経が掲載。朝日と産経は「ソフトバンクG純利益4.9兆円」を準トップで取り上げている。一方、各紙が経済面などでも両社の関連記事を報じているが、読売のタイトルは「トヨタ米中でSUV好調、電動車800万台30年目標」に対し、「ソフトバンクG株高追い風、投資事業安定課題」。朝日は「トヨタ、米中市場に乗る、脱炭素化も後押し」に対し、ソフトバンクGは「株高で巨額黒字リスクも、市況次第で下ぶれ」としている。さらに、日経は総合面で「トヨタ快走、供給網強く、生産回復いち早く」。

余談だが、トヨタの決算説明会で気になったのは、脱炭素に向けた電動車の新たな目標について、お家芸のハイブリッド車の表記を「HV」から「HEV」に、プラグインハイブリッド車もこれまでの「PHV」から三菱自動車など一般的に使われている「PHEV」に改めた。「E(Electric)」の文字を使用することでより一層“電動車両”のイメージを強調する狙いがあるようだ。

2021年5月13日付

●トヨタ最終益2.2兆円、21年3月期(読売・1面)

●ソフトバンクG、国内最高益4.9兆円(読売・2面)

●電機7社中5社増益、3月期、ソニー・日立最高益(読売・8面)

●決算コロナで二極化、3月期「巣ごもり需要」で差(朝日・3面)

●中西氏、日立会長も退任、新会長に東原氏、新社長に小島副社長(朝日・7面)

●ケリー被告共謀否定、日産事件公判「未払い報酬認識ない」(毎日・24面)

●エネオス石炭事業撤退へ、脱炭素で逆風(産経・11面)

●デジタル庁9月発足「個人情報保護後退させる恐れ」(東京・1面)

●この人、ロマンスカーミュージアムの初代館長・高橋孝夫さん(東京・3面)

●JR旅客6社そろって赤字、私鉄も苦戦(東京・7面)

●日本企業覆う「シン・六重苦」(日経・7面)

●日産株、一時13%安、3期連続赤字を嫌気(日経・15面)

●マツダ赤字317億円、前期最終円安進行で幅縮(日経・17面)

トヨタ・プリウスPHV《写真提供 トヨタ自動車》 小田急ロマンスカーミュージアムの初代館長・高橋孝夫さん《写真撮影 小林岳夫》