スーパーコンピュータ「富岳」利用を開始《写真提供 住友ゴム工業》

住友ゴム工業は、3月9日から共用開始となったスーパーコンピュータ「富岳」の産業課利用枠に採択されたことを発表。材料シミュレーションの進化を加速させていく。

富岳は、理化学研究所「京」の後継機となる世界最高レベルのスーパーコンピュータ。15万8976個の中央演算装置(CPU)を搭載し、1秒間に約44京2010兆回の計算が可能。世界のスパコンランキングで2期連続の世界1位を獲得した。

住友ゴムは、摩耗や経年による性能低下を抑制し新品時の性能を長く持続させる「性能持続技術」の開発を進めている。この技術開発では、タイヤ使用時にゴムの中で起こっている分子レベルの化学変化を正確に理解し制御することが大きな課題となるが、同社はより詳細な分子の構造を考慮した分子運動の表現手法を確立。今後、富岳を利用することで、分子運動に加えて化学変化まで表現できるゴム材料のシミュレーションを実現させる予定だ。

同社は2015年、独自のタイヤの新材料開発技術「アドバンスド 4D ナノ デザイン」を確立。低燃費性能、グリップ性能、耐摩耗性能を向上させるゴム材料の開発を行ってきた。今後、富岳を利用することでアドバンスド 4D ナノ デザインを進化させ、CASE/MaaSといったモビリティ社会へのさらなる貢献を目指す。

シミュレーションでの分子の表現手法《写真提供 住友ゴム工業》