低昇温・低トルク円すいころ軸受《写真提供 NTN》

NTNは10月20日、世界最高水準の低昇温・低トルクを実現するトランスミッション・デファレンシャル用円すいころ軸受を開発したと発表した。

近年、自動車産業がスマートモビリティやCASEに代表されるように大きな変革期を迎える中、電動化やカーシェアリングによる航続距離の延長などを背景に、動力伝達装置の高効率化が加速。これにより、装置内の潤滑油量の低減や低粘度油への切り替えが進められ、軸受にはこうした過酷な潤滑条件下の対応や、より一層の低トルク化が求められている。
今回開発した低昇温・低トルク円すいころ軸受は、新型樹脂保持器に付与した凹み形状により、潤滑油不足時にころ端面への給油を可能としたほか、ころ端面と内輪大つば面間の滑り接触部の潤滑性が向上する設計を適用。潤滑油量低減や粘度低下に伴う過酷な条件下でも昇温を抑制し、同社標準品比10倍となる世界最高水準の低昇温性(耐焼付き性)を実現した。

また、新型樹脂保持器による軸受内部への過度な潤滑油流入の抑制や、軸受内部設計の最適化などにより、同社標準品比66%低減、世界最高水準となる低トルク性も実現。動力伝達装置のさらなる高効率化ニーズに対応する。

開発品は、世界最高水準の低昇温性(耐焼付き性)と低トルク性とともに、コンパクトな軸受サイズも実現。動力伝達装置の高効率化や車両の省燃費・省電費化だけではなく、装置の小型・軽量化、車内スペースの拡大や運転時の快適性の向上にも貢献する。NTNは今後、本商品およびその要素技術を次世代モビリティに適用可能な仕様としてグローバルに提案していく。