北川紗衣さん

◆私がいちばんモータースポーツに興味がないコドライバーかも

「モータースポーツに興味を持ったのはいつですか?」と質問してみたら、ななっなんと!「実は強い興味は昔も今もありません(笑)」というお答えが返ってきました。そんな北川紗衣さんは、コドライバーとして活躍しながら、SUPER GTのSARDチームのドライバーアシスタントも務めています。

「いま所属している“RallyTeam AICELLO”のチームオーナーも最初驚かれたほど、自分や仲間が関わっていないと、ほとんど知りません。WRCの有名ドライバー、コドライバーもほとんど認識していないです」とのこと。

もちろんご自身が携わっていらっしゃる「全日本ラリー」「地区ラリー」の関係者は、「仲間」だからわかる。そしてドライバーアシスタント(いわゆる女子マネージャーさん)としてお仕事をいただいているSUPER GTの方でも、TOYOTAの500クラスのドライバーと、あとは雑誌によく出て来るようなドライバーはわかるけど…あとは……、とのこと。紗衣さん曰く「たぶん、私がいちばんモータースポーツに興味がないコドライバーかもしれません(笑)」だそうです。

◆ドライバーとナビゲーターの信頼関係がステキに見えて


そんな紗衣さんがモータースポーツを始めたのは、大学1年生の頃。きっかけは、その当時付き合っていた彼氏が大学の自動車部に所属していたからだそうで(あるある!)、その彼がラリーもやっていたんだそう。なので、彼が練習に行くときに、自分も一緒に練習したり、自動車部の先輩、後輩の方と遊んだりしていたんだとか。

そんなある日、彼が出るラリーに、炊き出しやお手伝いという感じで、ラリー会場へも足を運ぶようになった紗衣さん。あるラリーで、彼氏とナビゲーターの方が、ラリー中にアイコンタクトを取って笑い合っているのを見掛けます。「その雰囲気や信頼関係がステキに見えて、うらやましくて。大人になるとそういう世界感、なかなかないじゃないですか。そしたらその時、その思いがいつの間にか、声に出てたみたいで(笑)。『いいなあ〜、ステキだなって』。ボソッと」。

それを聞いた彼氏や、彼氏のナビゲーターさん、自動車部の方々が「やればいい。教えてあげる」と、イチからいろいろ教えてくれてラリーのナビゲーターを始め、今日に至るというわけなんですね。

そうしてラリーを始めた紗衣さんが初めて出場したのは、2003年地元九州の地区のジュニア戦の計算ラリー(※速さではなく、チェックポイントを通過する時間の正確さを競うラリー)。他にも大学対抗戦の計算ラリーのナビゲーターにもチャレンジし始めたんだとか。「学生時代は、ドライバーとしてジムカーナも少しやっていましたが、“よーい、ドン”で始まるスピード競技は性に合わなかったので、卒業後はラリー1本です」とのことでした。

そして2007年からは、全日本戦でのコドライバーをスポット参戦で開始し、2010年には全日本ラリーでチャンピオンを獲得!その後は全日本ラリーをメインに、WRCにも数戦参戦されているんだとか。早咲きの素晴らしいコドライバーさんですよね。



◆「私をやる気にさせるには食べ物がイチバン」

2016年に、SARDチームのコドライバーを務めたことをきっかけに、現在に至るまでSUPER GTのSARDチームのドライバーアシスタント(いわゆる女子マネージャー)を、お仕事として務められています。もちろん、レースは毎日あるわけではないので、高齢者サービス付き住宅で調理補助のお仕事もされているそう。

おじいちゃんとおばあちゃんと他愛もない話をしながら、ごはんを作ったり盛ったりしている紗衣さんの笑顔に、皆さん癒されているんでしょうねぇ〜。なんか瞼の裏にそんな絵が浮かんじゃうくらい、ホッコリしちゃいます。そのお仕事のために、調理師免許も取得したというところが、さすが頑張り屋さんの紗衣さんらしいところなんですよね。

そんな紗衣さんの趣味は、食べ歩きとお料理。ラリーに行った先でも、可能な限り郷土料理を食し、ラリーが終わったらお酒も解禁なので、その土地の日本酒を飲むんだそう。「私をやる気にさせるには食べ物がイチバン、と私が所属したチームのメンバーや組んだドライバーは思っていると思います(笑)」というくらいの、食いしん坊さんのようです。食べることが大好きなので、料理も大好きという紗衣さん。私はお料理苦手なので、ぜひ今度教えてくださいませ〜!

◆大事な仲間や友人や応援してくださる方と、ずっとラリーを


さて、今シーズンのモータースポーツは、コロナ禍でキャンセルが相次いでいるために、大切なご友人と参戦するL1ラリーが唯一の参戦予定という紗衣さん。「目標はドライバーの友人が、満面の笑顔でゴールできるよう全力サポートすること!!」というのが、実に紗衣さんらしいところ。「いままでラリーを続けてきて、大事な仲間がいっぱいできたし、憧れのドライバーもいるので(誰なのか気になるなぁ〜)」、目標は

『ステキなドライバーに指名をもらえるコドライバーでいること』
『勝ちたいけど、コドライバーがいないというときに、私を思い出してもらえるようなコドライバーになること』
『ラリーで出会った、大事な仲間や友人や応援してくださる方と、これからもずっと一緒にラリーができるようにラリーを続けること』

を掲げて頑張っていらっしゃるんだそうです。いつもまず相手のことを考える優しくて温かいところ、とっても紗衣さんらしいですよね。紗衣さんの周りにはいつもたくさんの笑顔があります。だからその目標は、必ず達成できると思いますよ〜。



「北川紗衣さんにとってラリーとは」
もともとラリーが好きで始めたわけではないですが、ラリーの仲間、ラリーで会える友人たちが大好きでやめるということはできません。そしてやるからには、組んでいるドライバー、また所属しているチームに最大限のリザルトを残したいので全力で取り組みます。

だからこそ、自分のスキルはあげたい。ほぼ毎日なにかしらのインカービデオは見ますし、ペースノートのことやドライビングのことで迷ったら自分の先生にすぐに聞きます。

体のメンテナンスも欠かさないですし、少量の筋トレも毎日しています。まだまだ力不足ですが、自分が組んでいるドライバーの最大の武器でありたいと思っています。自分で舵を取って物事を進めるのが本来苦手なのですが、大事な人たちのサポート仕事は大好きなのでコドライバーという役割は大好きです。

「北川紗衣さんからのメッセージ」
車好き、モータースポーツ好きの方にはもちろんですが、仲間と一緒になにかひとつのことに取り組むのが好き。自分で率先してなにかを始めたり、進めるのは苦手だけど、サポートをすることは好き。という方にラリー、特にコドライバーは向いていると思います。

ぜひぜひ、たくさんの方にラリーのことを知ってもらえると嬉しいです。そして、ついでに私のことも応援してください(笑)。

「大事な仲間や友人や応援してくださる方と、これからもずっと一緒にラリーができるように」と話す北川さん(前列左から2番目) 北川紗衣さん 北川紗衣さんとH.コバライネン選手 北川紗衣さんとH.コバライネン選手 北川紗衣さん(右) 北川紗衣さんとH.コバライネン選手のGT86 CS-R3