グローバルアドバンスカラー2020-21《画像提供 関西ペイント》

塗料メーカーの関西ペイントは7月15日、自動車市場向けに「グローバルアドバンスカラー2020-21」を発表した。今期のコンセプトは「Alone but not lonely」だ。時代の変化を捉えたコンセプトを基に、最新技術やカラーデザインを提案した。

関西ペイントのアドバンスカラーの開発は30年以上続いており、世界の自動車産業のクライアントに発信している。今回も各国に拠点を持つ関西ペイントグループのネットワークを活かしながら、ラインナップを完成した。

今期のグローバルカラーコンセプトは「Alone but not Lonely」とした。「誰かや社会とつながっていたいけど、一人を好む」、そんな時代から見えてきた2つのテーマに沿って色彩を開発した。

テーマのひとつは「Connected future」。実現していく理想の未来像に注目し、近未来に必要な技術や思想を盛り込んだ新しい領域の塗色を提案した。もうひとつのテーマは「A cup of tea」。何にも縛られず、ひとりの時間を悠々自適に楽しむ動きに注目し、落ち着いた印象の中にも強いこだわりを感じる塗色を提案した。

関西ペイントR&D本部CD研究所第1研究部のカラーデザイナー、小野郁美さんは「自動車業界においてもCASEや環境負荷低減の実現により大きな変化が見られる。そうした時代背景から、次世代自動車に必要な技術や独自のデータベース解析を取り入れた」と説明する。

以下、最新のアドバンスカラーの一部。

●独自のデータベース解析から生まれた新領域のブルー

ブルーは、世界的な自動車市場において人気が高く、様々な質感やトーンで展開されている。今年度は関西ペイントオリジナルの自動車ボディカラーデータベースを活用し、人気の高い傾向にあるブルーの特性を解析した。濁りのない奥行きを表現した「Ocean Blue Next」は関西ペイントお勧めの塗色だ。色材や顔料を吟味することで立体感と鮮やかさの理想的なバランスを追求したという。

●LiDAR技術に対応した最新ブラック

自動運転車のセンシング技術のひとつであるLiDARは、赤外線レーザーを照射し、対象物から戻ってきた反射光を検出することで距離を測定する技術だ。このとき、漆黒性の高い対象物は、検出感度が著しく低下する問題がある。関西ペイントが開発した「Black Panther」は、独自のテクノロジーにより赤外線域でも高い反射率を確保し、漆黒の意匠でありながら赤外線域の反射光の検出を可能にしたという。

またアルミフレークやパール顔料を付与したブラック=エフェクトブラックは、ある範囲を超えるとグレーに見えてることがある。関西ペイントはエフェクトブラックの領域を定義する研究を行いなった。この研究は日本色彩学会第51回全国大会で発表されている。

●各国の色彩開発エキスパートが考案する最新トレンド色

アジアを中心とした7か国の色彩開発のエキスパートとともに考案したグローバルトレンドカラーの1つが「Linen Velvet」だ。柔らかで上品な手触りを想起するリネンベルベットをイメージし、パール顔料の優しい輝きを活かした。

THEME1「Connected future」《画像提供 関西ペイント》 THEME1「Connected future」《画像提供 関西ペイント》 THEME2「A cup of tea」《画像提供 関西ペイント》 THEME2「A cup of tea」《画像提供 関西ペイント》 Ocean Blue Next《画像提供 関西ペイント》 一般的な塗装工程(特殊工程 を除く)で作成された市場で展開されているブ ルー塗色と新色との比較《画像提供 関西ペイント》 Black Panther《画像提供 関西ペイント》 Black Pantherのポジション《画像提供 関西ペイント》 Linen Velvet《画像提供 関西ペイント》 グローバルカラートレンド会議《写真提供 関西ペイント》 グローバルカラートレンド会議《写真提供 関西ペイント》 グローバルカラートレンド会議《写真提供 関西ペイント》 カラーデザイナーの小野郁美さん《写真提供 関西ペイント》