ボッシュのモータースポーツ向けの新たなテレメトリーシステム「レース・コネクト」のイメージ《photo by Bosch》

ボッシュ(Bosch)は6月18日、モータースポーツ向けの新たなテレメトリー(双方向通信)システムとして、「レース・コネクト」を開発した、と発表した。

ボッシュは、モータースポーツで使用する「LTE65」モデムを新開発した。モータースポーツでは、100分の1秒、数千分の1秒が勝敗を分ける場合がある。レーシングカーを開発してセットアップするとき、チームのエンジニアは可能な限り、物理的および技術的な極限を求めて作業している。

最も重要なツールのひとつが、テレメトリーシステムだ。テレメトリーシステムは、車両からレーシングチームのコンピュータにデータや測定値を送信する。これらのコンピュータは、ピット内やチームのエンジニアリング部門に設置することができ、練習走行や予選、レース中に、車両の設定を微調整するために使用される。

レースに参戦しているチームは、ボッシュのLTE65モデムを送信機ユニットとして車両に組み込む。コンパクトで軽量なモジュールを、標準化されたイーサネットや「RS232」インターフェースを使用して、車両の電子機器に接続する。モデムはLTEセルラーネットワークにより、エンドツーエンドの暗号化を利用して、すべてのデータをレース・コネクトのクラウドに送信する。データはLTE経由で、データエンジニアとレーシングチームに送信される。

レース・コネクトによって、チームは必要な数のモデムを同時に操作し、データを分析できる。これにより、複数の車両を走行させるレーシングチームの時間、労力、コストを大幅に削減できるという。

サイズは、114×65.5×22mmとコンパクトで、重量は180g。診断ツールと互換性があり、車両の電気システムの一時的な電圧降下をカバーする非常用電源が組み込まれている。このシステムは、すべてのデータセキュリティ要件を満たしており、LTEセルラーネットワークでの使用が認められている。ボッシュは、LTE65モデムは高速で、セルラーネットワークのカバレッジが変動する状況でも、低遅延で非常に信頼性の高いデータ通信が行える、としている。

ボッシュの「レース・コネクト」の「LTE65」モデム《photo by Bosch》