新型コロナによる上場企業への影響《画像 東京商工リサーチ》

東京商工リサーチは6月18日、上場企業の新型コロナウイルス影響調査結果を発表した。

情報開示した上場企業3401社のうち、決算短信や月次売上報告、業績予想の修正などで新型コロナによる業績の下振れ影響に言及したのは1533社だった。一方で「影響の懸念がある」、「影響を精査中」、「影響確定は困難で織り込んでいない」などの開示は1233社だった。

下振れ影響を公表した1533社のうち、883社が売上高や利益の減少などの業績予想を従来予想と実績との差異などで下方修正した。業績の下方修正額のマイナスの合計は売上高6兆2193億円、最終利益で4兆0547億円に達した。

新型コロナウイルスの影響・対応を分類すると、業績への下振れ影響は1533社と、上場企業3789社の4割に達した。店舗・拠点の休業、サービス停止を開示したのは287社だが、緊急事態宣言の解除、営業自粛要請の緩和などで営業再開を宣言し、通常営業へと戻りつつある。

決算発表の延期は737社と上場企業の2割。3月期決算の発表はピークを過ぎたが、その後の決算期でも決算発表の延期を公表する企業が相次いでおり、コロナ禍での決算作業の遅れによる混乱が当面続く見通し。

6月17日までに2020年3月期決算の上場企業2365社が決算短信を公表した。決算作業や監査業務の遅延などを理由に、41社が未公表。決算発表した2365社のうち、最多は「減収減益」で889社で、次いで、「増収増益」が697社だった。増収企業は1197社、減収企業が1168社と拮抗したが、利益面では減益企業が1389社だったのに対して増益企業は976社にとどまった。人件費などのコストアップに加え、新型コロナの影響を受けて減損や繰延税金資産の取り崩しによる損失計上が利益の下振れ要因となった。

2021年3月期業績予想は2365社のうち、約6割に当たる1412社が「未定」として開示していない。新型コロナによる経営環境の激変で、業績予想の見通しが立たず、算定が困難としている。次期の業績予想を開示した953社のうち、最多は「減収減益」で402社だった。

新型コロナによる上場企業への影響《画像 東京商工リサーチ》