ヤマハ発動機 日高祥博 社長《撮影 小松哲也》

ヤマハ発動機の日高祥博社長は5月29日に電話会議を通じて行った決算説明会で、「先進国では二輪、四輪バギー、船外機すべての商品において足元の回復は想定より早い」と述べるとともに、「パーソナルモビリティを見直す人たちが増えてくれるのではないか」との考えを示した。

日高社長は「販売台数の動きは4月を底として足元では回復に転じているが、地域により回復のスピードに差が出ている。中国は3月以降、好調に推移ししており、それが継続するとみている。先進国では2輪、四輪バギー、船外機すべての商品において足元の回復は想定より早いが、前年並みにはこの上期中にはまだ戻らないとみている。またASEAN、インドの二輪市場の回復にはまだかなり時間がかかるとみている」と解説。

このうち日本に関しては「二輪車の状況は2月、3月は通勤に電車を使うのは危ないということもあって、受注が良かったという現象があった。4月でその動きは落ち着いてきているが、やはり今回のコロナウイルスで、特に東京、名古屋、大阪といった公共交通機関が満員になるところから離れて、パーソナルモビリティを見直す人たちが増えてきてくれるのではないかと期待している」と述べた。

海外の動向では「アメリカではオフロードバイク、四輪バギーがロックアウト解除後に非常にスピーディーに対前年プラスくらいまでの勢いで戻ってきている。ただこれが一時的なものなのか、高止まりしてくれるのか様子をみる必要があると思っている」との見方を披露。

一方で「アジアは販売店は稼働を始めているが、小売りのスピードがなかなか上がってきていないということに加えて、主力市場のインドネシアでは少しファイナンスローンがタイトになってきてしまった影響もあって、コロナ後にコミューターが見直されるか見通せない状況」とも話した。

さらに日高社長は「コロナ後に人々の行動様式や価値観の変化があると思っている。その中でも移動に対する価値観はすごく変わるだろうと思っている。飛行機に乗ること自体がリスクになるということは、例えば長期休暇の時に海外旅行に行く人はおそらく減るだろう。近場で余暇を過ごそうということになると、海の上、それからアウトドアといったところの商品の動きがすごく良くなるのではないか」と指摘。

また「モビリティサービスという意味では、eコマースに伴う物流は日本では自動車による物流が多いが、アジア、アフリカ等では大渋滞も多いということで機動的な二輪車による物流が今後見直されて、そうしたeコマースの物流サービスに、オートバイのレンタルやリース、ファイナンスを組み合わせたビジネスモデルが、今後広がっていくのではないか」との見通しも示していた。

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