チャンギ空港のフルオート搭乗橋《画像:新明和工業》

新明和工業は、航空旅客搭乗橋のオプションとして、「フルオートシステム(完全自動装着システム)」の開発に成功したと発表した。

現在、世界各所で空港のスマート化が進んでおり、さらなる定時運航率向上に向け、安全を担保されることを条件とした、搭乗橋の航空機への装着作業の完全自動化に期待が寄せられている。

今回開発したフルオートシステムでは、新たなAI(人工知能)による画像認識技術を活用し、航空機の機種の入力や、10センチメートル手前からの装着作業などの、オペレーターによる操作が不要となるシステムを確立。オペレーターが始動ボタンを1回押すだけで、従来の搭乗橋の自動走行機能に加えて、クロージャー(雨風を避けるための屋根部分)を航空機のドアへ装着させるまでの一連の作業の完全自動化を実現している。

従来の自動装着システムでも、航空機ごとに設定する機種情報を登録することにより、対応機種を増やしていくことができたが、フルオートシステムは、航空機の機種に依存することなく、航空機への搭乗橋の装着姿勢を計算可能。新しい航空機に対応するために、新たに情報を収集したり、システムへ情報を追加するなどの、人による作業が発生せず、すべてシステム上で自動対応する。また装着までの軌跡を逆に走行することで「完全自動離脱」も実現している。

同システムは、2019年10月からチャンギ空港(シンガポール)で実証実験を行い、その安全性と精度について、同空港および同空港を利用する航空会社、いずれからも高い評価を獲得。今後、引き続き実証実験を行った後、2020年5月から受注活動を開始する予定だ。

航空旅客搭乗橋フルオートシステム(参考画像)《画像:新明和工業》