テスラ モデル3(スタンダードレンジプラス vr10.0搭載モデル)《撮影 丸山 誠》

◆521万円から買えるテスラの登場

テスラ『モデル3』のソフトウェアバージョン10.0(以下vr10.0)を搭載したモデルに試乗した。ご存じのようにテスラは通信によってソフトウェアをバージョンアップでき、最新の状態で使うことができる。

モデル3を簡単に紹介すると、テスラの本格的な量産モデルで、4ドアクーペタイプでリヤハッチを備えている。市場投入される前には生産体制やリリース時期などが大きな話題になったが、どうやら生産は軌道に乗ったようだ。

EVファンは、すでに注文し納車を心待ちにしている人も多いだろう。今回試乗したのは現在もっとも安価なグレードのスタンダードレンジプラスで、試乗車の価格は521万円。これまでの『モデルS』やSUVの『モデルX』と比べると手が届きやすい価格になり、EVファン注目のモデルでもある。

◆エンターテイメント機能が充実した「vr10.0」


vr10.0は2019年9月に発表され、この試乗車もバージョンアップされている。今回のソフトのバージョンアップは、これまでで最大規模でおもにエンターテイメントや音楽などを楽しむ機能が強化された。テスラシアターは、センターディスプレイにNetflixやYouTube、Huluなどを表示することができ、映画やさまざまなコンテンツを見ることが可能。

vr10.0は、オートパイロットに完全自動運転対応機能またはエンハンストオートパイロット機能が付いているモデルでは、クルマを駐車スペースにナビゲートしたり、目的の場所に呼び寄せることが可能だという。この機能をスマートサモンと呼ぶが、残念ながらこの機能を試す時間はなかった。試乗時間が1時間ちょっと限られているなかで、インパネ中央にドンと設置されている15インチの大型ディスプレイと格闘する時間がなかったのだ。


まるでTV並みの大きさのディスプレイに改めて驚くが、モデル3はすべてこのタッチディスプレイで設定などを行う。ドアミラーの角度調整など基本的な設定はトップ画面のクイックコントロールで簡単にセットできるが、細かい設定にはやはり時間と慣れが必要だ。

◆後輪駆動であることを実感させる挙動


とりあえずミラーとエアコンの温度設定を調節してスタート。インパネデザインの特徴は、通常のクルマであれば何かしらのスイッチなどがあるが、大型ディスプレイしか付けられていないことだ。エアコンの吹き出し口は、インパネアッパーとの合わせ目のように見える細いスリットに隠されている。試乗時はまだ寒い2月だったため温度コントロールは快適だったが、この狭い吹き出し口で日本の暑い8月でも快適なのか心配になる。

このスタンダードレンジプラスはリヤタイヤを駆動する後輪駆動。導入時は前後にモーターをレイアウトするAWDが中心だったが、量産体制が整いリヤ駆動モデルもリリースされたわけだ。スペックを見る限り動力性能はAWDに見劣りすると思っていた。だが、このグレードでも意外に鋭い加速を見せる。

モーターがもっとも得意とする発進加速でアクセルを全開にするとリヤタイヤにしっかりと荷重が乗るのがわかる。そこからクルマをグイグイ押し出す感じのトラクションが伝わり、加速の伸びもいい。AWDでなくても路面状況がよければリヤタイヤがグリップを失うことはなく、むしろ後輪駆動であることを実感させるクルマの挙動で気持ちがいい。



◆コーナリングが楽しめて、なおかつ「速い」

後輪駆動であることがうれしくなるのは、やはりコーナリングだ。ステアリングを切るとレスポンスよくノーズがインを向き、AWDよりスポーティなドライビングフィールを味わえる。コーナーの立ち上がりでもトラクションがよく、アクセルを積極的に踏んでいくことができる。

一連の挙動は後輪駆動らしくスポーティだ。モデル3には0−100km/h加速3.4秒(スタンダードプラスは5.6秒)というパフォーマンスグレードもあるが、このスタンダードレンジプラスでも十分に走りが楽しめてなおかつ速い。

テスラに共通する特徴のオートパイロットは、右側レバーを下に2回操作するだけで作動を開始する。高速道路でオートパイロットを作動させようとレバーを2回、ポンポンと押し下げたがうまく作動しないことがあり、作動させるにはリズミカルに押し下げるコツが必要だ。



■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★

丸山 誠|モータージャーナリスト
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。先進安全装備や環境技術、キャンピングカー、キャンピングトレーラーなどにも詳しい。

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