記者説明会の様子。藤久拓也上席執行役員(右)と川上大地執行役員《撮影 山田清志》

タウは2月19日、業界初のサービス「オンライン事故車査定システム」について説明会を開催し、3月初旬からサービスを開始すると発表した。これによって、これまで買い取り完了まで約2週間かかっていた日数を約半分の1週間に短縮できるという。

同社は日本で廃車となってしまうような事故車や自然災害などの被災車両を買い取り、修理して海外に販売するという専門商社で、昨年の台風19号時には、水害車両を約1万2000台を短期間で買い取り、ユーザーから感謝されたことでも知られている。

この時は他社が買い取りを拒否したクルマでも、ユーザーの助けになればと率先して買い取りを実行。例えば、スズキ『ソリオ』(2016年式)を15万円、ホンダ『N-BOX』(2019年式)を35万円という具合だ。そのため、ユーザーから「他の業者には買い取りが難しく、逆に廃車費用がかかるといたのですごく嬉しい」「もう価値がないと諦めていたところ買い取ってもらえ、新車購入の頭金にできたのでよかった」などの声が聞かれた。

「当社は1996年の創業以来、損害保険会社やカーディーラーなど法人取引が中心だったが、これから10年は個人との取引を増やし、海外での事業拡大を図っていきたい」と藤久拓也上席執行役員は話す。

その1つの例が今回のオンライン事故車査定サービスと言っていいだろう。これまでユーザーが事故車両や災害車両を買い取ってもらう場合、まずディーラーにその車両を持ち込んで見積などを行い、その後、タウの営業マンがディーラーに出張査定を行って買取金額を出していた。ユーザーはその都度立ち会う必要があった。今回のサービスではそんな煩わしさから解放される。

ユーザーはフロント、左右、リア、ルーフの全5カ所の損傷状況と、エアバッグの展開数、足回りの損傷、エンジンの始動といった項目を入力すると査定が行われ、買取金額が提示される。

「インターネット上でそのまま買取の申し込みができ、個人情報の入力や車両写真のアップロードも申し込み後に行うので、ユーザーが気軽に、安心して利用できると思う」と自動車営業部コールセンター部長の川上大地執行役員は話し、「初年度の2020年に1450件、22年には年間1700件の利用を目標にしている」という。

また、同社はユーザーの心情にも配慮した買い取りに心がけており、「See You Again」という活動を行っている。これはクルマを売却したユーザーからのメッセージや写真と、購入したユーザーからのメッセージや写真をやりとりするというものだ。

「本来、中古車業界は以前のオーナーの痕跡を残さないのが常だと思うが、それを敢えて以前のオーナーがどんな人でそのクルマにどんな思いが詰まっているのか、また次のオーナーがそれをどのように受け止めているのか、世界とつながる喜びになればいいと思う。それに次に購入される人にとっては、前のオーナーの顔が見える安心感や中古車流通の透明性に寄与すればと考えている」と川上執行役員は説明する。

日本では安全装備の普及により事故をしないクルマが増えているため、同社は日本でのビジネスを年間10万台で頭打ちと見ており、今後は海外、特に東南アジアを中心に事業を拡大していく方針だ。

タウの藤久拓也上席執行役員《撮影 山田清志》 「オンライン事故車査定システム」について説明する川上大地執行役員《撮影 山田清志》 「オンライン事故車査定システム」のホームページ《画像 タウ》