バッテリー駆動式ミニショベルの試作機《画像:日立建機》

日立建機は12月9日、今後、急速な市場の立ち上がりが予想される電動化建機の技術を確立するために、バッテリー駆動式ミニショベルの試作機(5トンクラス)を開発したと発表した。

試作機は、ミニショベル・ミニホイールローダなどの開発・製造・販売を行う子会社の日立建機ティエラが、独European Application Center(EAC社)と連携して開発したもの。EAC社は、日立建機と欧州地域における代理店Kiesel社のグループ会社KTEG社が2018年、建設機械の電動化および応用開発製品の開発を行うために設立した合弁会社だ。

近年、建設機械業界でも自動車業界同様、稼働時に二酸化炭素などの排出ガスを出さない電動化建機に対する期待が高まっている。特に欧州市場を中心に過密な都市部の工事で使われるミニショベルでは、バッテリー駆動式の電動化建機への期待が大きい。

しかし、バッテリー駆動式の電動化建機の実用化には、バッテリーの価格が高い、充電時間が長く稼働時間が短いなどの技術的な課題がある。とりわけミニショベルでは、バッテリーを建設機械に搭載することで、機械全体が大きくなる傾向にあり、狭小地でも高い作業効率性を発揮する、本来の小型機の特長を生かせない。また、バッテリーを小型化すると、作業に必要な稼働時間を確保できないという課題がある。

今回の試作機は、狭小地でも作業効率の良い後方超小旋回型ミニショベル(5トンクラス)をベースとした点と、バッテリー電源と商用電源を併用することができる点が大きな特長。ミニショベルの特長を最大限に生かせるよう、バッテリーシステムの小型化と長時間稼働の実現を追求し、開発を通じて、従来のモデルと同等のサイズで収まる技術的なめどがついたという。

今後も、日立建機グループは、環境規制の厳しい欧州市場の最新の情報をグループ内で共有し、市場ニーズに合致した電動化建機の開発を日本と欧州が連携して進めていく。なお試作機は今後、市場調査に活用する予定で、現時点では発売時期や価格は未定だ。