(イメージ)《写真AC》

損害保険ジャパン日本興亜と理化学研究所の革新知能統合研究センター(AIPセンター)は、自動車走行データの解析に関するAI(人工知能)技術を開発したと発表した(14日)。

今回、交通事故予測のための共同研究の成果として「運転データによる大規模ドライバー識別技術」と「多重比較補正を利用した統計的軌跡マイニング技術」を開発した。この技術によって従来課題となっていた自動車走行データの形式・特性に合った柔軟で効果的な解析が可能となり、今後、顧客に交通事故予測や運転支援に関する高度なサービスの提供につながるとしている。

運転データによる大規模ドライバー識別技術は、スマートフォン用カーナビアプリ「ポータブルスマイリングロード」で収集した運転データをもとに、数千人規模のドライバーを対象とした大規模識別問題に機械学習を応用した。

ドライブレコーダーを用いた法人向け運転診断では、複数のドライバーが同一車両を運転して運転データが混在した場合でも機械学習を活用することで、混在した運転データをドライバーごとに効率的に分類できる。最大1万人を対象としたドライバー識別実験では、評価用の手法と比較して高い精度でドライバーを識別できたとしている。

また、多重比較補正を利用した統計的軌跡マイニング技術は、例えば事故歴有ドライバーと事故歴無ドライバーのような2グループ間で、一方のグループで特徴的に発生する軌跡パターンを検出したい場合、木構造と呼ばれるデータ構造に軌跡パターンを格納し、統計的推論を適用することで、大規模な実データに対する計算が可能になるとしている。

損保ジャパン日本興亜は、今回開発した技術の研究成果をもとに、提供する安全運転支援サービスで、事故リスク評価モデルを支える基盤アルゴリズムとして実用化することを目指す。また、AIPセンターとともに、今回の共同研究の成果をもとに、安全運転につながる革新的な要素技術を搭載したサービスの提供を目指す。

予測モデルの識別精度の比較《出典 損害保険ジャパン日本興亜、理化学研究所》 比較グループ間での軌跡パターンの差異《出典 損害保険ジャパン日本興亜、理化学研究所》