ボッシュの最新ドライブユニット「パフォーマンスラインCX」を搭載したトレック「レイル9.7」《撮影 釜田康佑》

ボッシュが11月2日から4日まで千葉市、幕張メッセで開催されたサイクルモード2019にブース出展、2020年春から発売されるE-BIKE各種のメディア向け試乗会が開催された。

E-BIKEとはこれまでの電動アシスト自転車とは異なり、スポーツサイクルとしてのアクティブな走行性能を残しながら、モーターアシストを受けられる自転車のこと。

主な特徴としては、バッテリーをダウンチューブに配置することで、最適な重量配分を実現。チェーンステーを短くし、スポーツ自転車らしい挙動を行うことができる。アシストのパワー伝達はクランク軸からダイレクトに行われるため、自然でパワフルなパワーアシストを感じることができるのも大きな特徴。

また、電池技術の発達により、100km以上のモーターアシストを使った走行が可能となっており、ロングツーリングが楽しめるモデルが多いのが特徴だ。そのため、E-BIKEはヨーロッパを中心に新たなモビリティあるいはアクティビティとして期待されている。

ボッシュはそんなE-BIKEのドライブユニットを手掛ける企業の一つ。今回はその中でもアメリカのトレック社からボッシュの最新ドライブユニット「パフォーマンスラインCX」を搭載し2020年から日本市場にて発売を開始するフルサスペンションeMTB、「Rail9.7」に試乗した。

◆トルクフルなドライブユニット「パフォーマンスラインCX」

「パフォーマンスラインCX」にはいくつかのモードがあるが、まずは一番パワーの出方が強いターボモードを試してみる。ひと漕ぎ目は背中を押されるようなトルクを感じながら加速。モーターアシストのスピード上限である25km/hが近づくにつれアシストが弱まっていくが、登りなど速度が下がるシーンでは足に負担がかかる前にアシストが働いていく。

速度の下がるコーナーの出口ではペダルを踏みなおすと急加速。一般的にE-BIKEは低めの速度域でアシストが強烈にかかるため、細かなコーナーの出口では乗り手の意図としない加速が行われ、慣れていないと少し違和感や恐怖感もある。だが、全体的には重たいバッテリーを搭載しているにも関わらず、自転車が重いような感覚はなく、常に高級マウンテンバイクのような身軽な走りが楽しめた。

そして今回の「パフォーマンスラインCX」に初搭載されたeMTBモードに切り替える。踏力に応じたアシストを行うというこのモードでは、狭い箇所でのターンでも過剰なモーターアシストが行われることなく、より自転車をコントロールできている感覚が強まった。これであれば、微妙なペダリングコントロールが必要なオフロードの登り坂もリアタイヤをスリップさせることなく走ることができそうだ。

ボッシュ株式会社 オートモーティブエレクトロニクス事業部、マーケティングの豊田佑一さんによると「自転車はこれまで登りが一番大変で避ける方が多かったですが、これらのE-BIKEは登りが一番楽しくて、僕らはこれをアップヒルと名付けています。特にテクニックや脚力が必要なオフロードの登りがスイスイと登れる感覚は病みつきになると思います。

登りはモーターアシストで楽しく登り、下りは前後のサスペンションで軽快に下る。今まで自転車を楽しまれていた方には驚きと新鮮さを持って受け入れてもらえると思いますし、それ以外の方にはスポーツ自転車の楽しさを体感できる入り口として体験して欲しいと思っています。」

ボッシュではオフロード向けのバイクのみならず、クロスバイクや小径車など、街の移動手段として使われるコミュータータイプのE-BIKEにもユニットを提供している。今後、E-BIKEは自転車のモビリティとしての立ち位置や、スポーツ自転車の楽しみ方を大きく変化させるキーとなりそうだ。

ダウンチューブにバッテリーを搭載しており、E-BIKEとは思えないスタイリッシュさを実現《撮影 釜田康佑》 リアサスペンションを装備し、悪路の走破性も高い《撮影 釜田康佑》 モーターアシストパワーをダイレクトに伝えるドライブ部分《撮影 釜田康佑》 モードの変更は手元で行う《撮影 釜田康佑》 ボッシュ株式会社 オートモーティブエレクトロニクス事業部、マーケティングの豊田佑一さん《撮影 釜田康佑》 パフォーマンスラインCXのドライブユニット《撮影 釜田康佑》 同じくパフォーマンスラインCXを搭載したコラテックのE-POWER X VERT CX-P《撮影 釜田康佑》 トレックのハードテールeMTB、Powerfly 5《撮影 釜田康佑》