レース1のスタートシーン。《写真提供 MOBILITYLAND》

10月25〜27日に鈴鹿サーキットで開催された「WTCR」FIA世界ツーリングカー・カップ第8大会は、3レース制の決勝でホンダ、ヒュンダイ、VWが1勝ずつ星を分けた。アウディを駆ってワイルドカード出走した日本人選手の決勝最高位はレース2で富田竜一郎が記録した17位。

世界的な頒布を見せるTCR規定マシンで争われる、現在のツーリングカー世界最高峰シリーズ「WTCR」。2年目の鈴鹿戦は昨年とは違って東ショートコースでの開催となった(併催のスーパーフォーミュラ最終戦等はフルコース)。

WTCRは金曜に「計時予選」と「3段階ノックアウト予選」(Q3はトップ5によるシングルカーアタック)という2セットの予選を行ない、土曜がレース1、日曜がレース2&レース3という流れで実施された(路面は基本的に金曜がウエット、土〜日はドライ)。

決勝のグリッド決定方法は、レース1が計時予選の結果ベース。レース2はノックアウト予選の結果がベースで、上位10台にリバース制を適用。レース3はノックアウト予選の結果を原則ストレートに反映したかたちになる。

土曜のレース1では「ホンダ・シビックTCR」の#86 エステバン・グエリエリが優勝を飾り、ホンダに母国ウインをもたらした。翌日のレース2は「ヒュンダイi30 N TCR」をドライブする#5 ノルベルト・ミケリスが、レース3は「フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR」の#14 ヨハン・クリストファーソンがそれぞれ勝ち、WTCR鈴鹿戦は3メーカー、3選手が1勝ずつを分け合って終了している。

今回はワイルドカードで2名の日本勢が「Audi Team Hitotsuyama」から出走、ともに「アウディRS 3 LMS」で世界戦線の猛者たちに挑んだ。ひとりはSUPER GT/GT300クラスでも同チームで戦っている#7 富田竜一郎(10月28日で31歳)、もうひとりは今季全日本F3選手権でシリーズ2位となった#77 宮田莉朋(20歳、SUPER GTでも活躍中)である。

金曜の予選後には、難しい戦いのなかでも相応の手応えを得ている旨を語っていたふたり。レース1では#77 宮田が5番グリッド(計時予選の順位は7位)からの発進という好機も得て、#7 富田を含め決勝での好結果にも期待が高まった。しかし残念ながら3レースとも上位フィニッシュは叶わず、決勝ベスト順位は#7富田が17位、#77 宮田は25位だった(ともにレース2)。#77 宮田はレース1でのトラブル発生が無念。ただ、両選手とも結果以上の存在感を示したといえよう。

鈴鹿の東コースは全長2.243kmと短く、WTCRはドライなら1周が53〜54秒(レースラップ上位)。コースを埋め尽くすといってもいい状態で、併催のスーパーフォーミュラのようなタイヤがむき出しのフォーミュラカーではとても不可能な超絶的接近バトルを展開、鈴鹿に集まった観客を大いに楽しませていた(観衆は土曜1万3500人、日曜2万2500人)。

レース1優勝の#86 グエリエリ(ホンダ)。《写真提供 MOBILITYLAND》 レース1ではホンダ勢が1-3。優勝のグエリエリ(左)と、3位のT.モンテイロ。《写真提供 MOBILITYLAND》 レース2優勝の#5 ミケリス(ヒュンダイ)。《写真提供 MOBILITYLAND》 レース3優勝の#14 クリストファーソン(VW)。《写真提供 MOBILITYLAND》 ワイルドカード枠から日本勢2名がアウディで参戦。《撮影 遠藤俊幸》 #7 富田竜一郎(アウディRS 3 LMS)《写真提供 MOBILITYLAND》 WTCR日本戦に挑んだ富田(左)と宮田(右)。《撮影 遠藤俊幸》