UDトラックスの『クオン コンセプト202X』と酒巻孝光社長(左)、開発責任者のダグラス・ナカノ氏《撮影 山田清志》

UDトラックスの今回のテーマは「暮らしを支える物流に、革新を。」だ。酒巻孝光社長は「人々の暮らしを支える物流に革新的なソリューションを提供し、社会をもっと豊かにしていきたい」と力強く語った。

UDトラックスは1935年の創業以来、時勢が求めるトラックを提供するというビジョンを掲げ、いつの時代にも革新を生み出してきたという自負を持っている。例えば、1960年代には大量輸送時代に先駆けて国内で初めて10トンを超える積載量の大型トラックを日本市場に投入。また、環境問題が深刻化した2004年には、窒素酸化物を浄化する尿素SCRシステムを世界で初めて大型トラックに搭載した。

そんな歴史を持つだけに、今の物流が直面している課題についても、なんとかしたいという思いは人一倍強い。今回のブースにはその課題を解決するためのトラックが並んでいた。

例えば、『風神』だ。これは2019年8月に一部公道を使用して実施した国内初レベル4自動運転技術実証実験で使用された車両だ。大型トラック『クオン』をベースに開発され、リアルタイムキネマティック全地球測位システムや3D-LiDARなどの技術を駆使し、自動走行する。「2020年には限定領域での自動運転の実用化を図る」と開発責任者のダグラス・ナカノ氏。

そして『雷神』は、同じく大型トラック『クオン』をベースに開発されたクリーン、サイレントでパワフルなハイブリッド実験車両だ。食品倉庫などでの使用を想定し、必要に応じて電動走行モードで走行する機能を搭載している。

また、UDトラックスはコネクティビティ技術にも力を入れていて、トラックの状態をリアルタイムでモニタリングできるように、トラックは整備工場とオンラインでつながっているという。

「現在、UDトラックスが所属するボルボグループは、今年でつながる車両が100万台を超えた。こうしたつながる車両から得た情報を活用し、物流をもっとスマートにしていきたいと考えている」

こう話す酒巻社長が“未来のトラック”として紹介したのが『クオン コンセプト202X』である。人や社会、インフラとつながる時代を想定したコンセプトトラックで、AIやディスプレイのパーソナライゼーション、カメラモニタリングシステムなど、先進テクノロジーが詰まった車両だ。

酒巻社長は日本で物流の持続的可能性を高めるためには、オープンイノベーションを基本的な指針として、業界の垣根を越えてさまざまな知見やアイデアを持ち寄り、産業界・経済界が一丸となって取り組みを加速していく必要があると強調していた。

プレスブリーフィングをするUDトラックスの酒巻孝光社長《撮影 山田清志》 UDトラックスのハイブリッド実験車両『雷神』《撮影 山田清志》 UDトラックスのレベル4自動運転技術実験車両『風神』《撮影 山田清志》 UDトラックスのブース《撮影 山田清志》