「FlatFormer」のロゴデザインは、「FlatFormer」を横から見たところがモチーフになっている。《画像 日野自動車》

日野自動車は9日、第46回東京モーターショー2019の出展内容について発表した。説明会では、デザイン部創造デザイン室室長の関口裕治氏が登壇し、コンセプトモデル『FlatFormer』(フラットフォーマー)について解説した。

フラットフォーマーは、従来のようなトラックや、バスといった機能別の車体ではなく、動力部分とボディ部分が分離でき、用途によってボディを載せ替えられるという、新しい形の動力プラットフォームのこと。薄いフレーム構造が特徴的で、制御系ユニット、走行用バッテリーなどが搭載されるフレーム部分は、3Dプリンターで造形され、前輪部分はサスペンション、ステアリング機構、ブレーキ、モーターの一体ユニットが、後輪部分はサスペンション、ブレーキ、モーター一体小径タンデムユニットが装備される。タイヤは前後輪ともにエアレスタイヤになっている。

日野自動車は、このようなコンセプトモデルを開発する理由として、移動を取り巻く課題が多く存在していることを挙げている。少子高齢化や過疎化といった社会構造の変化により、人手不足、環境問題、渋滞などの問題が発生。これらの問題解決はもちろんのこと、多様なニーズにも応えられるモビリティの開発をすることで、新しい価値を創造しようと考えているとのこと。

動力部分とボディ部分を分離したモビリティであれば、顧客ごとに満足できるボディを製作でき、さらに1台のフラットフォーマーがあれば、時と場合に応じてボディを取り替えられるという、多種多様なサービスの展開も可能になる。従来型のトラックやバスといったモビリティでは実現が不可能だった、変幻自在なサービスの提供が、新しい価値となるのではないかというコンセプトで開発されている。より多くのフラットフォーマーが街中で活躍すれば、街中に広がる人々のニーズをクラウド上で解析し、ニーズに応えられるボディをフラットフォーマーに搭載し、すぐにサービスを提供出来るようになるのも特徴のひとつだ。

ボディ部分については、ケータリング、ヘルスケア、メディカル、スクールサポート、オフィススペース、デリバリー、パッセンジャーなど、サービスに特化した最適な形で設計できるため、無駄な部分が一切ないモビリティが制作できる。このボディー部分の設計については、日野自動車のディーラーにいるコンシェルジュとお客様が相談によって作り上げていき、工場で3Dプリンターを活用して制作される予定だ。フラットフォーマーのサイズ感は、全長約4700mm、全幅約1700mm、全高約300〜370mm程度と、全高以外は同社がリリースしている小型トラック・デュトロに近いサイズとなっている。

コンセプトモデルのため難しい質問だとわかりつつも、車両全体の価格について関口氏に尋ねたところ、「はっきりした価格は決まっていません。ですが、たとえばフラットフォーマーのベース部分は日野自動車が持ち出しやリースという契約にして、ボディ部分だけをお客様にお買い上げいただくといった形も出来るのではないかと考えています。日野自動車としては、お客様と一緒に一台一台を作り上げるという、新しいビジネスモデルも創造していきたいと考えています」と答えた。

動力部分だけのため、非常に薄いボディーが特徴的な「FlatFormer」。この上にサービスに合わせたボディを搭載する。《画像 日野自動車》 説明会では「FlatFormer」のロゴの焼き印が押された、どら焼きが配られた。《撮影 関口敬文》 デザイン部創造デザイン室室長の関口裕治氏によって、新しいコンセプトモデルの説明が行なわれた。《撮影 関口敬文》