2種類のAIで作業に適さない姿勢を判別し、当該作業者の部分に赤文字でアラートを表示《画像:日立建機》

日立建機は、日立産業制御ソリューションズが提供するAI画像認識技術を活用し、建設機械の製造現場にて作業者の姿勢を自動判別するシステムを2020年1月より土浦工場の製造現場に導入すると発表した。

建設機械の製造現場では部品などの持ち運びや、積み降ろしといった一定時間膝を曲げ、腰を落として姿勢を低くした状態での作業が発生するが、作業に適した姿勢でない場合は作業者の身体に負担が掛かってしまう。

製造現場の作業者がより安全で身体への負担の少ない作業環境を実現していくためには、作業者一人ひとりの行動を把握し管理するとともに、作業に適した姿勢や装備についての教育を行い、身体への負担や安全性を向上させる作業プロセスの改善が必要となる。これまではカメラで製造現場を撮影し、映像を人の目で確認していたが、さまざまな生産設備の中で多数の作業者の姿勢を確認するには膨大な時間が掛かるため、すべての作業者の姿勢を把握することは困難だった。

今回、日立建機は、汎用の単眼カメラで撮影した製造現場の映像から、作業者の姿勢を自動判別できるシステムを導入する。同システムは、日立産業制御のAI画像認識技術を活用し、2種類のAIを組み合わせたもの。1つ目のAIの画像認識技術で映像から作業者の骨格情報を抽出し、さまざまな生産設備の中から人のみを自動検出する。次に2つ目のAIの画像認識技術を用い、検出した人の姿勢が、あらかじめ設定した作業に適さない姿勢に該当するかを自動で判別。作業に適さない姿勢だと判別した場合、画面上の当該作業者の部分に赤文字でアラートを表示する。また、2つ目のAIは機械学習を重ねることで、自動判別の精度を向上させていく。

今回、日立建機は2020年1月から人にやさしいものづくりをめざして、同システムを土浦工場に導入。今後は、建設機械の製造現場における安全衛生の教育をはじめとした人財育成や、作業プロセスの改善を通じた効率の向上に、導入するシステムを広く活用していく予定だ。