「最後の最後、レッドブル・エアレースの空で、彼はものすごい何かをもってる」…同レースを10年間追い続ける外国人記者をこう言わしめたのは、準決勝にあたるラウンドオブ8。その前のアタックで0.015秒差で負け、まさかの敗者復活ではい上がった室屋の圧倒的フライトだ。
「ここまでくれば勝つだけだ」。4人で最後のチャンピオンを決める大一番、ファイナル4(決勝)。室屋は木更津駐屯地のハンガーを離陸。そして、室屋の前を飛ぶパイロットはなぜか、パイロンにヒットする。予選ではベン・マーフィー(イギリス)がヒット、このファイナル4では1番手のピート・マクロードがヒットし、室屋に期待する観衆はどよめく。
室屋が飛ぶころ、幕張海上はやや大きめの風が海岸線に沿って吹いていた。日本の空を知り尽くした室屋は幕張コースを果敢にせめてノーペナルティで58.630秒。ゴール直後、観衆にむけてクルクルっと3回転。残るはあと2人、アメリカのベテラン、カービー・チャンブリスとマット・ホール(オーストラリア)だ。
カービーは室屋のあとを追うように59.601秒。この時点で室屋は2位確定。残りはひとり、マット・ホールだ。室屋は木更津駐屯地のハンガーにつくや「アメイジング」と一言。最後の最後のアタックとなる、マット・ホールのフライトを静かにみつめ、格納庫へと消えていく。
マット・ホールもやや強めの風が吹く幕張海上を飛ぶ。ゴールパイロンを切ってみると…タイムは60.052秒。この時点で3位に決まったマット・ホールは悔しそうな顔のあと、木更津上空でガッツポーズ。木更津ハンガーで見届けるスタッフから総合ポイントの知らせがあったのか、あふれる涙をこらえながら笑顔で大空を旋回する。
この瞬間、室屋義秀のレッドブル・エアレース千葉大会優勝、マット・ホールとしては初の年間総合優勝が決まった。年間ポイント合計点数は、マット・ホールが81ポイント、室屋義秀が80ポイント。最後の最後、室屋が1ポイント差まで追い上げたが、総合優勝は逃した。
それでも、観衆もメディアも関係者も、興奮さめやらないまま拍手喝采。最後のレッドブル・エアレースは、地元日本人パイロットが敗者復活からのまさかの優勝、マット・ホールが逃げ切り総合優勝と、各々が有終の美を飾った。
【レッドブル・エアレース 最終戦】室屋義秀が敗者復活から圧倒的フライトで優勝! 2位のマット・ホールは初総合優勝
2019年09月08日(日) 13時49分
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