INCJ、コマツ、三井住友銀行、三井住友ファイナンス&リース、三井住友カードの5社が新会社「ランドデータバンク」を設立

INCJ(産業革新機構から新設分割)、コマツ、三井住友銀行、三井住友ファイナンス&リース(SMFL)、三井住友カード(SMCC)の5社は8月30日、新会社「ランドデータバンク」(LDB)を共同で設立したと発表した。

新会社LDBは、各種金融機能を持つプラットフォーム事業を行うことで、建設業界における中小事業者の生産性向上を支援。設立に際し、5社は総額4億円を出資し、今後、事業の進捗に合わせて追加出資を行っていく予定だ。

近年、国内建設投資額が増加傾向にある中、建設事業者は、資本金1億円未満の中小建設事業者が全体の99.6%を占めており、管理監督機能を担う元請企業のもと、直接施工機能を担う1次、2次、さらにそれ以下の下請企業から形成される重層下請構造となっている。また、建設就業者の高齢化を背景に深刻な労働力不足に直面していることに加え、ICT化が遅れた業務環境などにより、中小規模の建設事業者における生産性の向上、それを支える財務体質の改善は喫緊の課題となっている。そのような状況を受けて、国土交通省は2016年度より、建設生産プロセスにICT等を活用することで生産性の向上を目指すi-Constructionを推進している。

新会社LDBは、建設現場における工事内容、工事進捗、受発注情報などのデジタルデータを活用して、決済等の金融機能を備えたプラットフォームを中小建設事業者に提供。管理業務の負荷を軽減するとともに、資金繰りの円滑化および財務体質を強化し、生産性向上に向けたICT施工のための先進機器等への投資・調達環境の改善を促す。

LDBは、プラットフォーム事業の第1弾として、決済サービスの提供を予定している。具体的には、専用アプリを通じて、LDBが建設事業者と資機材サプライヤー間の資機材商流に介在し、SMCCの機能を活用して資材費を立て替えることで両者のキャッシュフローを改善。さらに請求・代金回収に関わる受発注や経理業務の軽減も図る。また、資機材サプライヤーによる建設事業者向けの与信審査・管理に関するリスク評価業務の負担軽減、債権回収リスクの低減に繋げる。

コマツでは既に、調査・測量・設計・施工・検査など建設生産プロセスに関わるあらゆる「モノ」や「コト」を有機的につなぎ、データ収集から課題解決まで一元管理するオープンプラットフォーム「LANDLOG」を活用し、スマートコンストラクション事業を推進している。LDBはLANDLOGおよびSMBCグループと連携することで、同プラットフォームが収集した大量のデータや過去の取引データを分析し、金融リスクを定量化することで金融サービスの高度化・開発に繋げる。

LDBは、設立後1年間をかけて、新たなプラットフォームの構築および決済サービスの実証を行い、来年度からはサービスの本格展開、収益化を図っていく。また、将来的には、保険やリースなど、決済以外のサービス事業の展開も計画している。