アルファロメオ ステルヴィオ 2.2 TURBO DIESEL Q4《撮影 島崎七生人》

◆口々に「スポーティ」と言われる理由

なるほど……と思った。試乗済みの人が口々に「すごくスポーティ!」と言うので、果たしてディーゼルでは、よほどトリッキーなチューンが施されたのか!?と想像していたのだが、実際に走らせて、確かにその“ムード”はガソリン車以上のダイナミックさに感じられた。

確認しておくと、ディーゼル搭載車の車重は1820kg(前:930/後:890kg)で、これは4気筒のガソリン車(1810kg)とほとんど差がない。しかしエンジンのスペックを見ると、ディーゼル(2.2リットルターボ)が210ps/47.9kgmあり、片やガソリン(2リットルツインスクロールターボ)は280ps/40.8kgmとなっている。つまりトルクに関してはディーゼルのほうが上回っており、このことでグイ!と力強い加速が得られ、“ツカミはOK”よろしく最初のひと踏みからドライバーに「おお!」と思わせる。


もちろんゼブラゾーンが始まる4500rpmまで澱みなく軽々と吹け上がるのは、ディーゼルといえどもアルファロメオらしいところで、ストレスなくスピードが乗っていく感覚も壮快であり、スポーティなもの。一方で100km/hはメーター読みで1500rpm足らず(8速)で、この時の快適性(音や振動の少なさ)はガソリン車と何ら変わらず、これも「いいね!」の印象だ。

◆いよいよアルフィスタになるための好条件が整ってきた


切るとサッと車体の向きが変わる、シャープなステアリングフィールもスポーティを思わせる要因だろう。挙動の素直さは、背の高いSUVであることを忘れさせる。

タイヤは18インチのランフラット(BS)が標準だが、この点では同じ4気筒ガソリンの19インチ(スポーツパッケージ)のほうが、むしろ乗り味、ステアリングインフォメーションが繊細に感じられ、18インチの試乗車は、低速で段差を降りるような場面で、タイヤからドスン!とショックが伝わることがある。

とはいえ背中をスッキリと立てて着座可能な後席、言い訳のいならい広さのラゲッジスペースなど、実用性の高さも自慢できるアルファロメオでもある。安全運転支援関係の機能や、HDC(ヒルディセントコントロール)始め駆動系のSUVらしい機能も充実する。

レポーターとしては、“トレーナ・コンセプト”(2019年ジュネーブのショーモデル)のフロントデザイン、その流れをくむセダンの登場にも期待に胸を膨らませているところだが、いずれにしても、『ステルヴィオ』『ジュリア』と最新モデルのバリエーションも充実、いよいよ(再び?)アルフィスタになるための好条件が整ってきたのが目下の状況といっていいだろう。



■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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