勝田貴元はいよいよWRCに「トヨタ・ヤリスWRC」(後方)で出場する(写真はフィンランド・ラリー選手権参戦時)。《写真提供 TOYOTA》

世界ラリー選手権(WRC)を戦っているトヨタ(TOYOTA GAZOO Racing)は28日、今季のドイツ戦とスペイン戦に若手育成選手の勝田貴元が“トップカテゴリー”参戦車の「ヤリスWRC」で出場すると発表した。

勝田貴元(かつたたかもと)は若手ラリースト育成計画「TOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジプログラム」の支援を受ける26歳。ラリーの名家の生まれながら、かつてはサーキットレースを主戦場に活躍、全日本F3選手権での優勝実績を有している。やがてラリーを活動主体とし、最近はWRCの併催下部クラスにあたる「WRC2」で優勝するなどの活躍を演じてきていた。

その勝田が、ついにWRCの総合上位戦線を争う“トップカテゴリー”のマシン(トヨタの場合は「ヤリスWRC」)でのWRC出場を実現する。

着実な成長を示す勝田に対し、トヨタは「日本人WRCドライバー(トップカテゴリーレギュラー参戦選手)誕生という目標の早期達成を狙う」ためにラリーチャレンジプログラムの活動内容見直しと強化を敢行、今季WRCに勝田が「ヤリスWRC」で実戦出場できる機会を用意した。8月22〜25日の第10戦ドイツ、そして10月24〜27日の第13戦スペインで、勝田はヤリスWRCに乗って戦う(なお、勝田は今季のフィンランド・ラリー選手権にはヤリスWRCで参戦した経験が既にあり、2戦2勝)。

勝田貴元のコメント
「まず、サポートしてくださったみなさまに感謝の気持ちをお伝えしたいです。4年前ラリーに転向してから、将来WRCワールドチャンピオンを獲ることを考えて取り組んできました。良いこともあれば、悔しかったこと、苦しかったこともたくさんありました。本当に多くの方にサポートしていただいたことで、この度、大きな一歩を踏み出すことができます」

「僕にとってのゴールはここではありません。今年ヤリスWRCに乗ってから徐々に手応えをつかみつつあります。近い将来WRCのトップカテゴリーで(継続的に)戦うためにも、今は焦らず、着実に経験を積み、このチャンスを無駄にしないよう一戦一戦成長していきます。まだまだ夢へ向けてやるべきことは多いですが、必ず最後までやり切りますので、今後とも応援よろしくお願いいたします」

日本の期待も背負いながら、前へと進んでいる勝田。2020年にはWRCの日本開催復活も見込まれるなか、さらなる活躍でチャンスを拡大していってもらいたいところだ。

5月後半、フィンランド・ラリー選手権で2度目の勝利を挙げた時の勝田(隣はコ・ドライバーのD.バリット。マシンはヤリスWRC)。《写真提供 TOYOTA》 5月前半、WRCチリ戦における「WRC2」で優勝した時の勝田(マシンはフォード・フィエスタR5)。《写真提供 TOYOTA》 日本の期待を背負う勝田貴元(かつた たかもと)。《写真提供 TOYOTA》 WRC第8戦イタリアでのヤリスWRCの走り(#5 K.ミーク)。《写真提供 TOYOTA》 WRC第8戦イタリアでのヤリスWRCの走り(#10 J-M.ラトバラ)。《写真提供 TOYOTA》