
アウトモビリ・ピニンファリーナは6月20〜23日、イタリアで開催されたトリノモーターショー2019において、EVハイパーカーの『バッティスタ』(Automobili Pininfarina Battista)のアップデート仕様を初公開した。
アウトモビリ・ピニンファリーナは、イタリアのデザイン工房、ピニンファリーナの親会社であるインドの大手自動車メーカーのマヒンドラ&マヒンドラ(マヒンドラ)が立ち上げた新ブランドだ。その最初の市販車が、EVハイパーカーのバッティスタ。バッティスタとは、ピニンファリーナの創設者、バッティスタ・ファリーナ(Battista Farina)氏に敬意を表すネーミングとなる。
◆フロントのデザインを小変更
トリノモーターショー2019では、このバッティスタのアップデート仕様が初公開された。バッティスタは2019年春、スイスで開催されたジュネーブモーターショー2019でデビューした。その後、2020年の発売に向けて、開発プログラムに取り組んできた。その成果を反映したのが、トリノモーターショー2019で初公開されたアップデート仕様となる。
アップデート仕様では、フロントのデザインを見直した。フロントバンパーのエアインテークが新デザインになる。アウトモビリ・ピニンファリーナによると、この変更は、空力シミュレーションの結果を反映させたものであり、車体のフロントからリアにかけて、視覚的な連続性を強めるのが狙いという。また、ボディカラーは新たに、ブルーメタリックの「Blu Iconica」をまとう。
◆4モーターは合計で1900hp
バッティスタのEVパワートレインの開発には、リマックアウトモビリ社が参画している。リマックアウトモビリ社は2009年、クロアチアに設立。アウトモビリ・ピニンファリーナとリマックアウトモビリ社は技術提携を締結。リマックの持つバッテリーやモーターなどの電動パワートレインやソフトウェア&ハードウェアを、ピニンファリーナバッティスタに供給する。
バッティスタのEVパワートレインは、4個のモーターを搭載し、合計で最大出力1900hp、最大トルク234.5kgmを引き出す。パワフルなモーターが4輪を駆動し、トルクベクタリング機能を採用。0〜100km/h加速2秒以内、0〜300km/h加速12秒以内の性能を発揮する。ピニンファリーナによると、0〜100km/h加速2秒以内の性能は、現行のF1マシンを凌ぐという。
また、バッティスタは5種類の走行モードが切り替えできる。最高速は350km/hオーバーだ。リチウムイオンバッテリーはセンタートンネルとシート後方に、T字型にレイアウトされ、蓄電容量は120kWh。1回の充電での航続は、およそ450kmの性能を備える。バッテリーは急速充電に対応している。
バッティスタのボディ構造は、フルカーボンファイバー製のモノコックに、カーボンファイバー製ボディパネルを組み合わせる手法で軽量化した。車体の前後はアルミによる構造として、衝突時の衝撃を吸収する。
ブレーキは、カーボンセラミックを使用する。ローター径はフロント、リアともに390mmだ。キャリパーは、フロントが6ピストンとした。リアには、エアブレーキ機能が備わる。タイヤはピレリと共同開発した専用の「P-Zero」で、21インチサイズを装着している。
◆開発プログラムは次の段階へ
バッティスタのインテリアデザインは、エレガントさを追求しながら、ドライバーが運転に集中できるインターフェースを取り入れた。ドライバー正面には、小型ディスプレイモニターがレイアウトされ、重要な情報を表示する。
コンパクトなステアリングホイールの両側には、ドライバーに向けた大型ディスプレイモニターを設置する。左側の画面で車両のダイナミクスとパフォーマンスをコントロールし、右側の画面でメディアとナビゲーションを操作する。ピニンファリーナによると、最小限のボタンとスイッチで、ドライバーが車と対話する方法を直感的に作り出すのが狙いという。
バッティスタは今後、開発プログラムを次の段階へ進める予定だ。シミュレーターを使った走行テスト、風洞実験を経て、元F1ドライバーで開発チーフドライバーのニック・ハイドフェルド氏が、初のサーキットテストを行う、としている。






