キムコグループのアレン・コウ会長と『スーパーNEX』《撮影 山田清志》

台湾最大のスクーターメーカーであるキムコグループは、「東京モーターサイクルショー2019」に自慢の2輪車を展示。なかでも来場者が注目したのが『スーパーNEX』という、日本初公開の電動バイクだった。

プレスブリーフィングでキムコジャパンの平山雅浩社長は「EVスポーツカテゴリーの中では世界初となる6速マニュアルトランスミッションを搭載している。モーターサイクルの楽しさを追求して作られた乗り物だ」とスーパーNEXを紹介した。

ギアシフトがバイクに乗る技巧の神髄であるという信念に基づいて設計されたスーパーNEXには、クラッチレス・シフトアップとシフトダウン機能も備わっており、スリッパ−・クラッチにより通常のシフトダウン時の乗り心地がさらに快適になるそうだ。

そして、その最大の魅力は6速トランスミッションならではの加速性にあるという。通常の電動バイクは所定の速度に達すると、加速力が顕著に落ちてしまうが、スーパーNEXは違うわけだ。モーターのパワーエンドを有効に使用することによって、時速0-100km/hが2.9秒、0-200km/hが7.5秒、0-250km/hが10.9秒と驚異的なパフォーマンスを発揮するという。

そのうえ、ライダーがバイクの能力をすべて活用できるような先進パフォーマンス制御システム「キムコFEP」を搭載している。ハードな加速中には、FEPがウィリーやホイールスリップを防止し、ハードブレーキ中にはジャックナイフ、いわゆる後輪の持ち上がりを防ぐのだ。さらに、FEPエンゲージメントのレベルはライダーの好みに合わせて調整が可能となっている。

このようなスーパーNEXについての説明が終わり、しばらくすると190cmぐらいの長身の男性が登場。なんとその男性はキムコグループのアレン・コウ会長で、何も話さずにスーパーNEXの横でフォトセッション用のポーズを取り始めた。これには台湾メディアが殺気立ち、一斉にフラッシュがたかれた。

会場で配られた資料には、コウ会長のコメントが載っており、こんなことが書かれていた。「スーパースポーツバイクの世界における電動化については、まだ多くの方々が躊躇しています。まず電動モーターが静かで馴染みのある轟音が出ないことに、スポーツバイク愛好家は物足りなさを感じます。簡単なツイスト・アンド・ゴー式の操作はより実用的ですが、おもちゃのように感じてしまい、ギフトのような満足感は得られません。また、現在のほとんどの電動バイクは、最初のラッシュ後、トップスピードに加速するときの持続的なスリルもありません。その結果、多くのスポーツバイク愛好家は、新しい電動化時代の到来がスーパースポーツの魅力を損なうのではないかと危惧しているのです」

スーパーNEXには、そんなことを打破したいというコウ会長の思いが強く込められているようだ。

『スーパーNEX』《撮影 山田清志》 『スーパーNEX』《撮影 山田清志》 キムコジャパンの平山雅浩社長《撮影 山田清志》 キムコのブース《撮影 山田清志》