日本での発売が始まったスクランブラー1200 XC(右)と、オフロードでの走破性を高めたスクランブラー1200 XE(左)《撮影 河野正士》

◆オフロードでの走破性を“圧倒的に”高めた

トライアンフモーターサイクルズジャパンは、スクランブラースタイルの新型車『スクランブラー1200 XC』と、さらにオフロードでの走破性を高めた『スクランブラー1200 XE』の発表会を開催。両車を日本で初公開するとともに、3月16日から日本での販売を開始すると発表した。

スクランブラー1200 XC/XEは昨年10月末、ドイツのモーターサイクルショーINTERMOT(インターモト)後に発表。直後に開催されたイタリアのモーターサイクルショーEICMA(エイクマ)でお披露目されたマシンである。


エンジンこそ、2016年に並列二気筒エンジンを水冷化したときにラインナップした、270度クランクを採用した1200ccバージョンをベースとしているが、その出力特性を見直し、さらにはオフロードプロ・モード(XEのみ)を含む6種類のライディングモードやコーナーリングABS(XEのみ)、トラクションコントロール(XEのみ)といった最新の電子制御技術を搭載。またフレームや前後足回りは新たに専用設計した。それらによってオフロードでの走破性を“圧倒的に”高めたモデルである。

じつはトライアンフは、並列二気筒エンジンを水冷化した2016年に、900ccエンジンを搭載した『ストリート スクランブラー』をラインナップしている。今回日本導入が始まったスクランブラー1200シリーズはその兄弟モデルというわけだ。しかしそのキャラクターもパフォーマンスも、オフロード走行に大きく重心を移している。

◆“ネオクラシック”と“アドベンチャー”の中間に位置する新カテゴリー

発表会でトライアンフモーターサイクルズジャパン代表である野田一夫氏は、スクランブラー1200が本物のスクランブラーであることを強調した。それを裏付けるように、昨年のワールドプレミア時やEICMAでの発表時には、メキシコで開催されているデザートラリーBAJA1000(バハ1000)に、スクランブラー1200 XEで出場すると発表している。砂漠や山道など1000マイルを一気に走りきることから世界一過酷なラリーとも呼ばれ、そこに出場することはスクランブラー1200 XEのオフロード性能に自信がある証拠だ。


したがって、スクランブラー1200シリーズは、トライアンフの水冷二気筒エンジンを抱く“モダン・クラシック”カテゴリーの各モデルや、巷で人気の“ネオクラシック”と呼ばれる各メーカーがしのぎを削るトレンド・カテゴリーとは一線を画する。もちろんトライアンフで言うところの『タイガー』シリーズがそうであるように、近代的なデザインの大型カウルに電子制御技術を満載し、オンロードからオフロードまでをカバーする“アドベンチャー”カテゴリーとも違う。強いて言うなら“ネオクラシック”と“アドベンチャー”を橋渡しする新しいカテゴリーを造ったバイク、と言うことができるだろう。それゆえにネオクラシックからのステップアップ組や、アドベンチャーからのダウンサイジング組も取り込むことができるだろう。

◆80を越える純正オプションパーツをラインナップ

スクランブラー1200の並列2気筒1200ccエンジンは、高回転域の伸びや最高出力よりも、低中回転域から発生するトルク特性に注力しセッティングされている。したがって、先に発表した同エンジンを使用する『スピードツイン』より1000回転も低い回転域で最大トルクを発生している。ちなみにXC/XEの両モデルともに、最高出力90ps /7400回転、最大トルク110Nm /3950回転となっている。


またXC/XEの両モデルともに、独自にセットアップした、SHOWA製フロントフォークとオーリンズ製リアショックを搭載。フロント21インチホイール/リア17インチホイールと、オフロードでの走破性を高めるためのホイールサイズも選ばれている。またXCは前後とも200mm、XEは前後とも250mmのサスペンションストロークを持っている。さらにXEは長くなったリアサスペンション長とストローク長を活かしてオフロードでのパフォーマンスを高めるため、XCに比べ32mm長いスイングアームを採用しているほど。フロントフォーク・インナーチューブ径も、XEはXCより2mm太い47mm径となる。

またすでに80を越える純正オプションパーツをラインナップするとともに、本社デザイナーがそれらのオプションパーツをセットアップした2タイプのインスピレーションキットもラインナップしている。メーカー希望小売価格は、スクランブラー1200 XCが203万1900円(税込)、スクランブラー1200 XEが217万4100円(税込)となっている。



◆スクランブラーの世界観に合わせグランピングスタイルで

このスクランブラー1200の発表会は、昨年5月に東京・渋谷区にオープンした話題の都市型ホテル「TRUNK HOTEL」で開催された。またスクランブラー1200の世界観に合わせアウトドアブランドOLD MOUNTAINによるグランピングアイテムで会場を演出。さらにローンチパーティーでは、一般社団法人日本フードアナリスト協会がグランピング料理の試食会も開催した。

さまざまなカルチャーを巻き込みながら邁進するトライアンフ。プロダクトともに、そのアクティビティにも注目したい。

日本での発売が始まったスクランブラー1200 XC(右)と、オフロードでの走破性を高めたスクランブラー1200 XE(左)《撮影 河野正士》 トライアンフレディの柳原ゆうさんと、大関さおりさんがスクランブラー1200 XC/XEとともに会場にライドイン《撮影 河野正士》 トライアンフレディの柳原ゆうさんと、大関さおりさんがスクランブラー1200 XC/XEとともに会場にライドイン《撮影 河野正士》 トライアンフレディの柳原ゆうさんと、大関さおりさんがスクランブラー1200 XC/XEとともに会場にライドイン《撮影 河野正士》 トライアンフレディの柳原ゆうさんと、大関さおりさんがスクランブラー1200 XC/XEとともに会場にライドイン《撮影 河野正士》 トライアンフレディの柳原ゆうさんと、大関さおりさんがスクランブラー1200 XC/XEとともに会場にライドイン《撮影 河野正士》 トライアンフレディの柳原ゆうさんと、大関さおりさんがスクランブラー1200 XC/XEとともに会場にライドイン《撮影 河野正士》 トライアンフモーターサイクルジャパン代表、野田一夫氏《撮影 河野正士》 トライアンフモーターサイクルジャパン代表、野田一夫氏《撮影 河野正士》 スタンダードモデルのスクランブラー1200 XC《撮影 河野正士》 フロント21インチホイール採用。ブレンボ製4ポットキャリパーをダブルで装着する《撮影 河野正士》 270度クランクを採用する排気量緒1200ccの水冷SOHC並列二気筒8バルブエンジン《撮影 河野正士》 車体右側に取り回した2本のエキゾーストパイプは、可能な限り車体に近づけられている《撮影 河野正士》 スクランブラーらしく、車体右側には2本出しアップマフラーを採用《撮影 河野正士》 オーリンズ社と共同開発したストローク長200mmのツインショック。スイングアーム長は547mm《撮影 河野正士》 スクランブラーらしいショートタイプのアルミフェンダーを採用。ウインカーおよびナンバープレートフォルダーは樹脂製《撮影 河野正士》 シート下の収納スペース。USB電源ソケットのほか、デバイス類を収納できる衝撃吸収フォーム付きボックスが用意されている《撮影 河野正士》 ステンレス製のタンクホルダーもデザインされている《撮影 河野正士》 トライアンフでは第二世代となるTFTフルカラーディスプレイを採用。合計12パターンの表示が可能《撮影 河野正士》 5インチのLEDヘッドライトを採用5インチのLEDヘッドライトを採用《撮影 河野正士》 上級バージョンのスクランブラー1200 XE《撮影 河野正士》 「TRIUMPH」の英語スペルではない、三角形のトライアンフロゴを新たに採用《撮影 河野正士》 オーリンズ社と共同開発したツインショックは、XCよりもストローク長を50mm伸ばした250mmストロークモデル。スイングアーム長も34mm延長し579mm《撮影 河野正士》 アルミ製のブッシュガード(レバーガード)を装備《撮影 河野正士》 オフロードブーツの使用を考慮し、ワンタッチでペダル位置が変更できる《撮影 河野正士》 ビンテージ・トライアンフが採用していたような、丸みを帯びた燃料タンクデザインを採用。継ぎ目が目立たない、独自の製法で制作している《撮影 河野正士》 フロントには21インチホイールを採用。より高いオフロード走破性を目指し、オフロードタイヤのピレリ製スコーピオンラリーをメーカー承認タイヤとした《撮影 河野正士》 デザイナー推奨のインスピレーションキット「EXTREME(エクストリーム)」《撮影 河野正士》 デザイナー推奨のインスピレーションキット「EXTREME(エクストリーム)」《撮影 河野正士》 デザイナー推奨のインスピレーションキット「EXTREME(エクストリーム)」《撮影 河野正士》 デザイナー推奨のインスピレーションキット「ESCAPE(エスケイプ)」《撮影 河野正士》 デザイナー推奨のインスピレーションキット「ESCAPE(エスケイプ)」《撮影 河野正士》 デザイナー推奨のインスピレーションキット「ESCAPE(エスケイプ)」《撮影 河野正士》 デザイナー推奨のインスピレーションキット「ESCAPE(エスケイプ)」《撮影 河野正士》 二輪と四輪でダカールラリーに挑戦し、四輪では数多くのクラス優勝を果たしている三橋淳氏(中央)のトークショー。三橋氏は、スクランブラー1200の国際試乗会に参加。そこでの印象を語った《撮影 河野正士》 二輪と四輪でダカールラリーに挑戦し、四輪では数多くのクラス優勝を果たしている三橋淳氏(中央)のトークショー。三橋氏は、スクランブラー1200の国際試乗会に参加。そこでの印象を語った《撮影 河野正士》 二輪と四輪でダカールラリーに挑戦し、四輪では数多くのクラス優勝を果たしている三橋淳氏(中央)のトークショー。三橋氏は、スクランブラー1200の国際試乗会に参加。そこでの印象を語った《撮影 河野正士》 一般社団法人日本フードアナリスト協会が開催した、グランピング料理の試食会の様子《撮影 河野正士》 一般社団法人日本フードアナリスト協会が開催した、グランピング料理の試食会の様子《撮影 河野正士》 一般社団法人日本フードアナリスト協会が開催した、グランピング料理の試食会の様子《撮影 河野正士》 一般社団法人日本フードアナリスト協会が開催した、グランピング料理の試食会の様子《撮影 河野正士》 一般社団法人日本フードアナリスト協会が開催した、グランピング料理の試食会の様子《撮影 河野正士》 会場を飾った、アウトドアブランド/OLD MOUNTAINによるグランピングアイテムを使った演出《撮影 河野正士》 会場を飾った、アウトドアブランド/OLD MOUNTAINによるグランピングアイテムを使った演出《撮影 河野正士》 会場を飾った、アウトドアブランド/OLD MOUNTAINによるグランピングアイテムを使った演出《撮影 河野正士》