プラネタリウムが描かれた天井パネル《撮影 山田清志》

京成バスは3月5日、新習志野高速営業所(千葉県習志野市)でプラネタリウム仕様の夜行高速バス「K★スター・ライナー」を報道陣に公開した。夜行高速バス市場は激しい客の争奪戦が繰り広げられており、同社はこのプラネタリウム仕様バスで女性客の増を狙う。

プラネタリウム仕様バスは2014年から順次導入され、これまで計5台が運行されてきた。特に女性客に好評で、乗るとすぐに歓声が上がることが多かったそうだ。そこで、2台が老朽化してきたのを機に、新型車両に替えて天井パネルを一新し、1人でも多くの女性客を取り込もうと考えたわけだ。

そのプラネタリウムが描かれた天井パネルは、職人が筆を使って手作業で丁寧に仕上げたものだという。非常に繊細で、なかなか写真では伝えられない幻想感が漂っている。なんでも天井面にブラックライトを照射し、プラネタリウムのような幻想的な空間を演出しているそうだ。

新型車両は三菱ふそうトラック・バス製で、乗車定員は乗客28人、乗務員2人の計30人。独立式1人掛けシートを3列でレイアウトし、プライベートカーテンで仕切られるようになっている。各座席にはコンセントとUSBポートが付いており、無料Wi-Fiも完備している。

「シートについても、新しいものに替えました。前方のフットレストを下ろすと前席の下に空間ができ、足を伸ばせことができます」と業務部車両課の石丸哲也課長は話し、車両の整備面や機能面、安全装置についてもさらにブラッシュアップしたという。

衝突被害軽減ブレーキをはじめ、車線逸脱警報装置、車間距離保持機能付きオートクルーズ、アクティブ・アテンション・アシスト、車両挙動安定装置、流体式リターダーなどが装備されている。

「現在、各社が工夫を凝らした車両で鎬を削っている状況で、うちとしても負けてはいられない。勝ち残っていかなければいけない」と新習志野高速営業所の田中圭所長は話し、このプラネタリウム仕様の夜行高速バスに期待を寄せていた。

現在、このバスは千葉市や習志野市を出発し、ディズニーランドや東京駅、横浜駅などを経由して、大阪、神戸、奈良、名古屋の4都市を結んでいる。ちなみにプラネタリウムはずっと点いているわけではなく、最初に停車したパーキングエリアを出発したときに消すようにしているそうだ。

披露会の後には試乗会も開催され、黒いカーテンを閉め切ってプラネタリウムを眺めながら1時間ほど高速道路を走行した。余程快適だったのか、すぐにどこからともなくいびきが聞こえてきた。

京成バスが運行しているプラネタリウム仕様の夜行高速バス「K★スター・ライナー」《撮影 山田清志》 プラネタリウム仕様バスの車内《撮影 山田清志》 プラネタリウム仕様バスの車内《撮影 山田清志》 座席に設置されているフットレスト《撮影 山田清志》 プラネタリウム仕様バスの主な装備《撮影 山田清志》