ホンダ・ヴェゼルツーリング《撮影 雪岡直樹》

最近はSUVの人気が高く、その代表がホンダ『ヴェゼル』だ。全長は4330〜4340mmに収まるから運転しやすく、燃料タンクを前席の下に搭載したために空間効率も高い。後席と荷室はミドルサイズSUV並みの広さだ。外観には引き締まり感が伴ってカッコ良く、人気車種になった。

このヴェゼルが、1.5リットルターボエンジンを搭載する「ツーリング ホンダセンシング」を加えた。1.5リットルターボは幅広いホンダ車に使われるが、ヴェゼルの性能は『シビックセダン』に準じる。レギュラーガソリンを使って最高出力は172馬力(5500回転)、最大トルクは22.4kg-m(1700〜5500回転)だ。

1500回転以下では過給領域をはずれて駆動力が落ち込むが、2000〜4000回転では余裕があって運転しやすい。無段変速ATのCVTを搭載するが、加速時にエンジン回転が先行して高まる違和感を抑えた。2リットル以上のエンジンを搭載する感覚で運転できる。

走行安定性にも注目したい。ヴェゼルツーリングは専用にチューニングされたパフォーマンスダンパーを備える。足まわりのショックアブソーバーに似たパーツをボディに取り付けて、乗り心地を損なわずに走行安定性を向上するのがねらいだ。4輪のブレーキを独立制御して曲がりやすくするアジャイルハンドリングアシストも採用した。

これらの効果でカーブに進入する時は良く曲がり、峠道などでは外側に位置する前輪が踏ん張る。アジャイルハンドリングアシストも違和感がなく、過敏に曲がりすぎたり、後輪の接地性が下がる不満はない。

乗り心地は少し硬いが、スポーティなクルマが好きなユーザーであれば不満はないだろう。本来は「RS」をこのように造り込むべきだったが、ツーリングを選ぶ価値は高い。

ただし価格は割高で、前輪駆動の2WDなのに290万3040円に達する。「ハイブリッドRSホンダセンシング」を約10万円上まわった。良いクルマだがオススメ度は3点だ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

渡辺陽一郎|カーライフ・ジャーナリスト
1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

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