小糸製作所(以下:小糸)は、2種類のADB(Adaptive Driving Beam:ハイビーム可変ヘッドランプ)の試作品を公開した。2020年以降量産体制を敷き、ADB採用の裾野を拡大していく考えだ。
ADBは先行車や対向車、歩行者などを検知して、必要なエリアをカットして運転者や歩行者がまぶしくないようにする技術。すでに上級車を中心に搭載が始まっているが、今回の出展ではその技術をさらに高めたことにポイントがある。ただ、単に解像度を上げるだけではコストもアップしてしまう。そこで、必要に応じて使い分けるため、異なる配光方法を持つ2タイプを用意した。
同社では現在、10〜20個ほどのLEDチップを2列に並べた「LEDアレー」方式のADBを提供中だが、今回出展した試作品はいずれもその解像度をさらに高め、より高精度に車両や歩行者がいるところを照射しないようにすることを目的としている。
1つはADB採用の裾野を広げるべくコストを抑えた「ブレードスキャン」方式。もう一つは高解像度をさらに極めた「DMD(Digital Micro Device)」方式だ。
前者は、小糸独自のADB方式で、2枚のブレードを回転させて配光を制御するものだ。LEDチップの光をミラーによって斜めに誘導し、レンズを通して照射する。ミラーは特殊な形状をしており、これを回転させることで従来よりもシームレスな配光制御が実現できたという。低コストで量産できるのが最大のメリットになる。
回転式ということで寿命が心配だが、担当者によれば「耐久試験によって実証済みで、通常使用ではまったく問題がない」とする。
後者のDMD方式は、多数のマイクロミラーの向きをMEMS(Micro Electro Mechanical Systems:微小電気機械システム)によって変えるDMD素子を使うもの。解像度を高めるために膨大な数のマイクロミラーが組み合わされていることから照射範囲の自由度は極めて高い。小糸によれば130万分割もの配光制御が実現できるという。
その結果、投影解像度は極めて高く、歩行者の顔だけを照射しないようにもできる上、道路標識への反射を抑えて照射することも可能だという。照射の解像度だけでなく、照射レベルまでも自動的に調整が可能となるのだ。近い将来、レーザーヘッドランプの普及へ向け、技術の伸長を期待したい。
小糸の可変ハイビーム、コスト抑制しつつ高解像度に…CES 2019
2019年01月18日(金) 14時15分
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