ランブレッタ V125 Special《撮影 ダン・アオキ》

16歳の誕生日と共に原付免許を取り、でも、20代はクルマに夢中。アラサーでリターンライダーになるも、40代は仕事に忙殺される。そしてアラフィフで2輪に再々入門。そんな浦島ライダーが、最新のバイクをチェックしていきます!

◆「日常のアシ」以上の魅力を求める人に

手軽で便利なスクーター。でも、実用性だけではツマラナイ。せっかく乗るなら「あまり人と被らず、趣味性が高いモデルがいいなァ」と考えている貴方。イタリアンブランドの『ランブレッタ』はいかがでしょう?

昨2017年に復活した新生ランブレッタの、日本導入モデルは3種類。49.5ccの「V50 Special」(38万円)、124.7ccの「V125 Special」(40万円)、そして168.9ccエンジンを積む「V200 Special」(45万円)です。いずれもフロントフェンダーが固定式の「Fix」と、前輪と一緒に首を振る「Flex」が用意されます。

ポップなカラーが揃ったレトロ風味のモダンスクーター。“ちょっと古い”バイクはカッコいいけど維持が大変そう…と二の足を踏んでいたり、ライフスタイルの一環として「日常のアシ」以上の魅力を求める方々、こんなスクーターを待っていたんじゃないですか?

◆ベスパに劣らぬヒストリーを持つランブレッタ


イタリアのスクーターというと、一定の年齢以上のニッポン人の心には、『ベスパ』という単語がガッツリ食いこんでいます。いうまでもなく、映画「ローマの休日」の影響ですね。

とはいえ、巨人に王がいれば、南海には野村がいたように(いつのハナシだ!?)、ベスパに劣らぬヒストリーを持つメーカーとして、ランブレッタがあります。最初のベスパが登場したわずか1年後、1947年からランブレッタの歴史は始まります。50年代には、ベスパとともにイギリス発モッズ・カルチャーの象徴となり、世界各地に販路を拡大。しかしその後、スクーター需要の縮小と労働争議のあおりを受け、1971年にイタリアでの生産を終了。90年代には、インドのSIL社が継続していたライセンス生産も終わり、ランブレッタブランドは一時途絶えることになります。

2017年に再登場したランブレッタは、そもそも同ブランドを2輪部門として興したイノチェンティ社のお墨付き。正統なる後継メーカーなのです。製品は、オーストリアのKSRグループが開発し、同じくオーストリアのKISKAデザインがデザインを担当。台湾の三陽工業(SANYANG MOTOR)が、中国・厦門(アモイ)工場で生産します。

日本でのランブレッタ正規輸入代理店は、株式会社サイン・ハウス。バイク用インターコムの「B+COM」シリーズで知られるオートバイ向けアクセサリー・パーツメーカーです。東京は田園調布にオープンしたショールームにお邪魔すると、オプションパーツを装着したり、ペイントを施されたランブレッタが並んでいました。ヘルメットやTシャツといったウェア類、バイク関連のオリジナル商品も並ぶので、愛車のカスタマイズはじめ、オーナー自身のランブレッタワールドを広げる手助けにもなりそう。

試乗させてもらったのは、白ボディに赤いシートのV125 Special。フェンダーが首を振るFlexタイプです。実車を前にすると、うーむ、見るからにオシャレ。そのうえ、品質感、高し。

◆いかにも21世紀のランブレッタ!


KTMやハクスバーナのプロダクトも手がけているKISKAデザインは、ランブレッタの中に、上手に「伝統」と「新しさ」を同居させました。オーストリアの会社だからこそ、客観的かつ積極的に「イタリアらしさ」を表現できたのかもしれません。

もちろん外観だけでなく、中身も本格派。新世代のランブレッタも、これまで通りスチールモノコック構造を踏襲しています。一方、現代のモデルらしく、ランプ類にはLEDが用いられ、キッチュなデザインの速度計の下には、さまざまな情報を表示する液晶ディスプレイが設けられます。シート下にメットイン、フロントには小物入れ、そしてUSBチャージャーが備わるのが、いかにも21世紀のランブレッタです。

125ccの4ストローク単気筒は空冷エンジンで、10.2psの最高出力と9.2Nmの最大トルクを発生。スタートこそ少々おっとりしていますが、走り出してしまえばエンジン音を響かせて、元気にスクーターを走らせます。

感心するのは、ブレーキがよく利くこと。V125 Specialは、前後ディスクブレーキにして、連動機構付きです。十分なストッピングパワーに加え、しっかりしたフィールが印象的。

ランブレッタを扱うショップは日本各地に拡大中ですが、サイン・ハウスでは、「オン・デマンド」という販売形態も採っています。これは、バイクショップが1台単位でランブレッタを注文できるシステム。ユーザーとしては、身の周りにランブレッタを扱うお店がなくても、同スクーターが欲しいと思ったら、最寄りのバイクショップで相談できるわけです。

スクーター好きはもとより、地方のオシャレさんにとっても朗報ですね。今後、都市部を離れた意外な田舎道で、新生ランブレッタの姿を見かけることがあるかもしれません。

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