Kymco SuperNEX《撮影 古庄速人》

キムコはEICMA 2018プレスデー初日の6日に会場ブースでカンファレンスを実施したが、これとは別に同日夜、ミラノ市内でカンファレンスを開催。ここで電動スーパースポーツモデルの『SuperNEX(スーパーネックス)』がサプライズ公開された。

キムコはこれまで、スクーターを中心とするコミューターのメーカーとして知られてきた。スポーツタイプのモーターサイクルは、小排気量の単気筒モデルしかラインナップしていない。しかしカンファレンスに登壇した同社のアレン・コウ会長は「電動化は妥協ではなく、スーパースポーツ・セグメントを変革する絶好の機会です」と語り、スーパーネックスのプロトタイプを公開した。

「これまでの多くの電動モーターサイクルには変速可能なギアがなく、スポーツモデルの愛好者に達成感を与えられませんでした」とコウ会長。そこで「ライディングにアートを取り戻したい」と考え、スーパーネックスには6速トランスミッションを搭載。これは自動シフトアップ/ダウンもでき、バックトルクリミッター機能も備えている。

トランスミッションによってモーターのパワーバンドを有効に使えることで、0-100km/h加速は2.9秒、0-200km/hは7.5秒という加速力を実現。また「FEP」と呼ばれる先進パフォーマンス制御システムを採用し、ウィリーやジャックナイフ、ホイールスピンを防止。これはライダーの好みに応じて調整可能だという。

FEPは「すべてのライダーに、スーパースポーツのスリルを追求するという特権を得る機会を与え、スーパーネックスの可能性を最大限に引き出す力を与えるもの」とメーカーでは説明している。

公開された車両はカウルに透明樹脂が使われていたり、前後ランプも装飾性が重視されるなど、まだまだコンセプトモデルとしての装い。しかしその奥にあるアルミツインチューブフレーム、それにスイングアームなどの機構部品は、非常に現実的なものに見える。実際にキムコ関係者によれば「開発はかなり進んでいるはず。カウル形状はともかく、車体がここから大きく変わることはないのでは」とのこと。

残念ながらカンファレンスではモーターやバッテリーなどのメカニズムを見ることはできず、車体重量やモーター出力、バッテリー容量それに航続距離といったスペックは未公表。市場投入時期もまだ明かされていない。

コウ会長は、スーパースポーツは「実用性を求めるニーズに応えるものではない」としながらも、その魅力は肯定。そしてスーパーネックスには「シフト操作、音、パフォーマンスなど、ライダーを昂らせるあらゆる要素があります」と語る。「わたしたちは、スーパースポーツの次の時代を始めます」(コウ会長)

なお会場ブースでのカンファレンスでは、各車種の2019年モデルのほかに、新たに展開をスタートさせたエネルギー供給ソリューション「iONEX」に対応する『』LIKE EV、法人向けサービス「iONEX Commercial」で使われる3種の電動スクーターなどが紹介されている。

アレン・コウ会長《撮影 古庄速人》 Kymco SuperNEX《撮影 古庄速人》 Kymco SuperNEX《撮影 古庄速人》 Kymco SuperNEX《撮影 古庄速人》 Kymco SuperNEX《撮影 古庄速人》 Kymco SuperNEX《撮影 古庄速人》 Kymco SuperNEX《撮影 古庄速人》 Kymco SuperNEX《撮影 古庄速人》 Kymco SuperNEX Kymco SuperNEX Kymco SuperNEX Kymco SuperNEX Kymco SuperNEX Kymco LIKE EV《撮影 古庄速人》 iONEX Commercialの車両《撮影 古庄速人》