免震・制振オイルダンパー

国土交通省は16日、KYBとカヤバシステムマシナリーの製造した免震・制振オイルダンパーが大臣認定の内容に適合しないことが発覚したと発表した。

不適合製品は共同住宅、事務所、病院、庁舎など、986カ所に設置されている。

KYBとカヤバシステムマシナリーは、検査データを改ざんするなどして大臣認定に不適合な製品を出荷していたほか、大臣認定仕様と異なる材質のピストン、パッキン、塗料を使用していた。

不適合品は、大臣認定を受けた製品のうち、2000年3月から2018年9月までに出荷したもので、出荷先は986件。不適合の内容は、オイルダンパーの減衰力性能の基準値からの乖離値が大臣認定で許容されている値よりも大きいものについて検査データを大臣認定で許容されている値に書き換えて出荷していた。

不適合品のうち、特に乖離値が大きい製品が設置された建築物(免震4棟、制振2棟)と、2015年3月に免震材(高減衰積層ゴム支承)の認定不適合が問題となった東洋ゴム工業関連の1棟に関して、建築物の構造設計を担当した設計事務所がサンプル的に構造安全性を検証した結果、震度6強から7程度の地震に対して倒壊するおそれはないとの見解が第三者機関から得られているとしている。

また、大臣認定仕様と異なる材質のピストンを使用していたのは29件、パッキンが113件、塗料が23件。ピストンのうち認定5件、パッキンと塗料については、出荷製品の仕様について、安全性に問題がないとの見解が第三者機関より得られており、この仕様での大臣認定の取得に向けて手続を進めている。ピストンのうち認定1件については、性能の確認中。

国土交通省は、同社の社長に対し、建築物の安全性確保のため、全責任を持って、オイルダンパーの交換その他必要な対策を、最後の1棟、1本まで速やかに遂行するという姿勢に基づいて対応するよう住宅局長から指示。

さらに、両社に対して性能確認試験データの書き換えを、できなくするとともに、品質管理方法に関して徹底した原因究明のもと、再発防止策をとりまとめ、国土交通省に報告し、報告に基づいて必要な改善策を実施することも指示した。

国土交通省は、免震ダンパーに関して大臣認定を取得している他の事業者に対しても、検査データ書き換えによる大臣認定に不適合な製品の出荷と、同種の事案の有無について確認した上で、年内に報告を求める。

オイルダンパーとピストンとパッキン