前走していた観光バスを対向車線側から乗用車が強引に追い抜き、危険を感じたバス運転者が急ブレーキを掛けたことで乗客3人が重軽傷を負う事件が起きた。
追い抜いたクルマは逃走していたが、警察はドライブレコーダー映像から車両を特定し、運転者を逮捕している。

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8月下旬、静岡県東伊豆町内の国道135号で、前走していた大型観光バスを強引に追い抜き、このバスが急ブレーキを掛ける要因を生み出して乗客3人を負傷させたとして、静岡県警は19日、同町内に住む男をひき逃げなどの容疑で逮捕した。

静岡県警・下田署によると、自動車運転死傷行為処罰法違反(過失傷害)や道路交通法違反(ひき逃げ)容疑で逮捕された24歳の男は、2018年8月26日の午前7時ごろ、東伊豆町奈良本付近の国道135号(片側1車線の緩やかなカーブ)で乗用車を運転した際、対向車線側へ進出して前走していた大型観光バスを強引に追い抜いたが、これを避けようとした対向車に驚いたバス運転者が急ブレーキを使用したことで、乗客3人が座席から投げ出され、43歳の女性が骨折などの重傷。他の2人も打撲などの軽傷を負った。

バスを追い抜いてきたクルマはそのまま逃走しており、警察では重傷ひき逃げ事件として捜査を開始。バスに搭載されていたドライブレコーダーの映像から車種を特定し、男が運転していたと判断。19日にひき逃げなどの容疑で逮捕している。

現場は追い抜きが禁止された区間ではなく、乗用車はバスや対向車に衝突や接触もしていないという。聴取に対して男は「現場付近を通ったことは間違いないが、バスを追い抜いていない」などと供述しているようだ。警察では強引な追い抜きが他車両の安全を脅かしたものとみて、事故発生の経緯を詳しく調べている。

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現場は対向車線側に進入しての前走車追い抜きが認められている区間ではあるが、カーブが連続していることから追い抜きには適さない場所でもあった。先が見通せない状況で追い抜きを仕掛けることは大変危険なことなのだが、こうした事故が起きる危険について、追い抜きを仕掛ける側は認識していないことが多々でもある。こうした事故も一昔前だったら容疑者特定は困難だったが、今はドライブレコーダーのレンズが容疑者の逃走を許さない。