アルファロメオ ステルヴィオ ファーストエディション《撮影 島崎七生人》

北イタリア、スイスとの国境近くアルプス山系の峠の名を冠した『ステルヴィオ』。カタログのビジュアルにも、その峠道の写真は使われているが、「まあアルファロメオらしいイメージだよね」と、試乗前はサラッと眺めていた。

ところが、いざ試乗をしてみると「おぉ!」と、1人きりの車内だったが思わず声を上げた。セダンの『ジュリア』とほとんど共通のドライビングテイストだったからだ。とくに山道に持ち込むと、その名に偽りなし……といったところ。シャープ過ぎずダルでもなく思い通りに切れるステアリング、ロールを感じさせないコーナリング中の姿勢は、まるでジュリアを走らせているかのよう、なのである。

スペックを当たっておくと、最大で前輪に60%、後輪に100%の可変トルク配分を行うオンデマンド式のQ4(AWD)システム、カーボン製ドライブシャフトなどはジュリアとも共通。2820mmのホイールベースは共通で、トレッドはステルヴィオのほうが前/後で+55mm/25mm広いが、何といってもドライビングポジションはステルヴィオが680mm、ジュリアが490mmと圧倒的にステルヴィオのほうが高いのである。が、その差やそもそもの車重の違いをまったく意識させないステルヴィオのワインディング路での自然でキレイな身のこなしは、昨今増えた同クラスの内外SUVのなかでもトップクラスに思える。

4気筒の2リットルターボの性能(280ps/40.8kg-m)も、とても登場したてのモデルとは思えず“使いこなせている感”があり、動力性能も洗練されている。もちろん“dnaスイッチ”を切り替えれば、ステアリング系のタッチとともに好みのフィーリングを選んで走れる。

インテリアは華美に過ぎず、クールで上質な仕上がりが心地いい。後席も寛げるスペースで、ラゲッジスペースの広さは実物をご覧いただければ一目瞭然だろう。harman/kardonのオーディオのクッキリとした音質も、聴き心地がよく、クルマのキャラクターに合っている。

ジュリアとの共通のデザイン要素で仕上げられた外観は、プレーンながら饒舌。路上で見かける機会があったが、遠くから見ると実際よりもコンパクトにすら見えるのは(SUVはそれでなくても量感、威圧感が大きいのだから)いかにもな存在感を主張するプレミアムセグメントのライバル車に対し、控えめで、好ましく思えた。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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