4インチのパワー半導体(左)と6インチのパワー半導体《撮影 山田清志》

ロームは4月10日、都内で記者会見を行い、電気自動車(EV)などに使う半導体の生産能力を増強すると発表した。これによって、同社は世界ナンバー1のメーカーになることができるという。

具体的には福岡県にある筑後工場に新棟を建設。新棟は地上3階建てで延べ床面積が約1万1000平方メートル、2019年に着工し、20年に竣工する見通しだ。投資額は約200億円。生産するのは炭化ケイ素(SiC)を使った新型の6インチのパワー半導体で、耐熱性の高く、モジュールを小型化できるのが特徴だ。

同社は10年からSiCパワー半導体を量産しており、現在、米国のウルフスピード社に次いで世界第2位のシェアを持っている。同市場は今後大きな成長が期待され、同社では25年度に17年度比8倍の2300億円に拡大する見ている。そこで、今回の新棟を含めて宮崎県にある拠点でも増産を検討しており、25年3月期までに計600億円を投資し、生産能力を16倍に高める計画だ。

「今期で約20%のシェアまできているが、25年までには30%のシェアを達成して、世界ナンバー1のメーカーを実現していきたいと思う」と東克己専務は話す。

すでにさまざまな自動車メーカーから注文が来ているという。なにしろ、16年からフォーミュラEのインバーターに採用され、大幅な小型・軽量化と高効率化に大きく貢献しているからだ。なんでも重量で6kg軽くなり、体積が43%も減少したそうだ。

そうした自動車メーカーの注文を踏まえ、同社では世界のEV市場が20年に200万台、25年には500万台になると予想する。SiCパワー半導体はEV以外でも注目を浴びており、最近ではEVの急速充電器、サーバー、太陽光発電、産業機械向けに用途が広がっている。

ロームの東克己専務《撮影 山田清志》